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自然エネルギーは、政策によって普及のための前提条件を整えることで多様なステークホルダーが市場に参入し、導入が加速します。目標値の設定、固定価格買取制度をはじめとする規制、税制措置、情報キャンペーンといったさまざまな政策手法を組み合わせ、国・地方自治体・地域コミュニティのそれぞれで取り組みを進めていくことが必要です。ISEPは、国内外の研究者、実務家と共に自然エネルギー政策の研究・提言を進めています。

デンマークの電力システムにおける柔軟性の発展とその役割(レポート)

デンマークエネルギー庁「デンマークの電力システムにおける柔軟性の発展とその役割」(日本語版)

デンマークエネルギー庁(DEA)が2021年6月にリリースした最新レポート(英語)の日本語版「デンマークの電力システムにおける柔軟性の発展とその役割」が公表されました(安田陽教授の協力でISEPが日本語版監修を担当)。デンマークでの電力システムにおける過去20年間にわたる経験から風力・太陽光で電力の50%をまかなうための 統合ソリューションと100%の未来に向けた可能性が示されています。

変動性再生可能エネルギー(VRE)で電力の50%をまかなう:デンマークの電力セクターにおける柔軟性の役割

2020年、デンマークの電力セクターで消費された電力量の50%が変動性再生可能エネルギー(VRE)によるもので、デンマークは電力システムにおけるVREのシェアが最も高い国となりました。VREの供給が需要を上回る日もあり、その結果、電力システムはVRE100%で運用され、残りは輸出されました。2000年および2010年における年平均VREシェアがそれぞれ約12%、約22%であったことを考えると、大きな進歩です。

この成果は、世界トップクラスの電力の安定供給を維持しながら、費用対効果の高い方法で大量のVREを電力システムに統合することが可能であることを示した20年間の経験に基づくもので、この10年間の電力の安定供給を示す指標の平均値は99.996%です 。火力発電所を中心とした電力システムからVREを大量に供給する電力システムに移行する際の多くの課題や障壁の中心となったのは、合理的なコストで高い電力の安定供給を維持しながら供給の不確実性や変動性に対処するための、柔軟性の必要性でした。

柔軟性の鍵としての電力市場

デンマークにおける柔軟性の発展は、2000年に電力市場が開放され、それまで垂直統合されていたエネルギー(電力およびガス)事業者が発送電分離(アンバンドリング)されたことと密接に関係しています。市場の考え方の中心となるのは、市場参加者が経済的なインセンティブを得て行動できる価格シグナルを通じて、市場が電力システムの柔軟性に対するニーズを反映するように設計されていることです。

デンマークの場合、当日市場(訳注: 日本では時間前市場と呼ばれる)や1時間ごとの電力価格などの市場設計が費用対効果の高い柔軟性を解放することに重要な役割を果たしている、と言えます。歴史的に見て、主な市場参加者は発電所の運用者であり、彼らは価格シグナルを通じて、電力市場に積極的に参加し、電力価格が変動しても利益を最大化するために運用の柔軟性を高めるように動機づけられてきました。

得られた知見:2000年から2020年までの柔軟性ソリューションを時系列で振り返る

過去20年の間にVREのシェアが大きく変化したことで、柔軟性の必要性も高まっています。そこで、2000年から2020年のデンマークの電力システムにおける技術的・制度的な柔軟性ソリューションを時系列で振り返ることで、段階的な発展についての洞察が得られるだけでなく、さまざまなVREのシェアの場合にどのような柔軟性ソリューションが必要であるかを示すことができます。この振り返りから得られたいくつかの知見を以下のように時系列で紹介しています。

  • 2000年~2009年(VREシェア20%未満):市場のインセンティブにより、連系線の有効活用と既存発電所のより柔軟な運用が行われ、柔軟性への投資はわずかだった
  • 2010年~2015年(VREシェア20~44%):VREシェアが高いほど、既存技術の柔軟性の手段や、発電所や送電網の新たな運用方法への投資が大きくなる
  • 2016-2020年(VREシェア44-50%)と50%以上:セクターカップリングとデマンドサイドの柔軟性の向上に焦点

 

 

 

 

 

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