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2019年(暦年)の自然エネルギー電力の割合(速報)

日本国内の自然エネルギーによる発電量の割合は18%を超え、太陽光は7%に

要旨

  • 2019年 (暦年)の日本国内の全発電量(自家消費含む)に占める自然エネルギーの割合は前年の17.4%から18.5%に増加したと推計される。
  • 日本国内の太陽光発電の年間発電量の割合は、2019年には前年の6.5%から7.4%に増加し、VRE(変動する自然エネルギー:太陽光および風力)の割合は7.2%から8.2%に増加した。
  • バイオマス発電(2.7%)の年間発電量は前年から2割、風力発電(0.76%)および地熱発電(0.24%)も1割程度増加しているが、水力(7.4%)は前年からほぼ横ばいだった。
  • 化石燃料による火力発電の年間発電量の割合は前年の78%から75%に減少したがまだ高いレベルであり、原子力発電は前年の4.7%から6.5%に増加した。
  • 欧州では、すでに自然エネルギーの年間発電量の割合が30%を超える国が多くあり、デンマークは84%に。VRE(変動する自然エネルギー)の割合もデンマークの55%を筆頭に20%を超える国が多くある。
  • EU全体の2030年に向けた高い自然エネルギー導入目標と合わせて各国では中長期的な高い導入目標を掲げおり、自然エネルギー100%で電力供給を目指す国もあるが、これらと比べて日本の2030年の導入目標24%はとても低い。
  • 中国でも自然エネルギーの割合は水力発電を含めて全発電量の26.4%に達しており、風力発電が5.5%、太陽光発電も3.1%になり、VRE割合(8.4%)が原子力の4.8%を大きく上回っている。

国内の全発電量に対する自然エネルギーの割合

電力調査統計[1]やFITおよび全国の電力需給データなどより2019年の日本国内の全発電量(自家消費を含む)の電源別割合を推計した[2]。その結果、2019年(暦年)の日本国内の自然エネルギーの全発電量に占める割合は前年(2018年)の17.4%からおよそ1ポイント増加し18.5%に増加した(表1、図1)。

2014年には約12%だった自然エネルギーの割合が、毎年1ポイント程度ずつの増加で18%以上に達したことになる(図2)。その中で、太陽光発電の発電量は、前年(2018年)の6.5%から7.4%へと増加しており、第5次エネルギー基本計画(2018年7月閣議決定)が2030年度の電源構成で想定している導入割合(7%)をすでに達成したことになる。風力発電の割合0.76%と合わせると、VRE(変動する自然エネルギー)の割合は、前年(2018年)の7.2%から8.2%に増加した。太陽光発電以外の自然エネルギーについては、バイオマス発電(2.7%)が前年から2割程度、風力発電(0.76%)および地熱(0.24%)がそれぞれ前年から1割程度増加したが、水力発電はほぼ横ばいだった。

月別にみると5月の自然エネルギーの割合が最も高く、25.4%に達している(図3)。この年の5月は出水量の関係で水力発電の割合も9.9%と例年より低くかったが、太陽光の割合が11.7%と高くなり、変動する自然エネルギー(VRE)の割合も12.4%に達している。

なお、風力発電については、電力調査統計のデータ(電気事業者送電量と受電電力量)ではなく、電力会社が公表している電力需給データによる送電量を用いている[3]。また、太陽光発電の送電量については、電力調査統計のデータを採用しているが、電力需給データと比較すると年間送電量で1割程度大きいため太陽光発電の割合については推計の幅があることに留意が必要である。

火力発電の発電量は減少傾向にあり、2019年は前年の77.9%から75.0%に減少し、2014年からは約13ポイント減少したが依然として高いレベルである。一方、原子力発電は、2014年にゼロになってから、2015年以降、毎年発電量が増加しており、2019年には全発電量の6.5%となったが、まだ太陽光の発電量の割合7.4%より低いレベルである。

表1: 日本の全発電量に占める自然エネルギーの割合の推移(出所:電源調査統計などよりISEP作成)

電源 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 備考
水力 8.0% 8.6% 7.6% 7.6% 7.8% 7.4% 大規模含む
バイオマス 1.5% 1.5% 1.9% 2.0% 2.2% 2.7% 自家消費含む
地熱 0.24% 0.25% 0.22% 0.21% 0.22% 0.24%
風力 0.47% 0.50% 0.54% 0.61% 0.69% 0.76% 電力需給データ
太陽光 1.9% 3.0% 4.4% 5.7% 6.5% 7.4% 自家消費含む
自然エネルギー 12.1% 13.8% 14.7% 16.4% 17.4% 18.5%
VRE 2.3% 3.5% 5.0% 6.3% 7.2% 8.2%
火力 87.9% 85.7% 83.6% 80.8% 77.9% 75.0% 石炭、LNG、石油ほか
原子力 0.0% 0.4% 1.7% 2.8% 4.7% 6.5%

 

図1

図1:日本全体の電源構成(2019年速報) 出所:電力調査統計などよりISEP作成

図2

図2:日本の全発電量に占める自然エネルギーの割合の推移(出所:電力調査統計などよりISEP作成)

 

図3

図3:日本国内の全発電量に占める月別の自然エネルギーの割合(2018年) (出所:電力調査統計などよりISEP作成)

国内での2018年末および2019年末の自然エネルギーの発電設備の設備容量を表2に示す。太陽光発電の設備容量(ACベースの接続容量)は2018年末の4800万kWから570万kW増えて2019年末には約5400万kW近くに達している(一般送配電事業者が公表している「再生可能エネルギーの接続状況」より集計)。風力発電は56万kW増加して430万kWに達している。

表2: 日本国内の自然エネルギーの発電設備の設備容量
(出所: 一般送配電事業者が公表している「再生可能エネルギーの接続状況」等より作成)

[万kW] 2018年末 導入量
(2019年)
2019年末
太陽光 4,815 568 5,383
風力 376 56 432
VRE比率
(対最大需要)
31.5%   35.3%

 

欧州各国との自然エネルギーの割合の比較

自然エネルギーの電力分野の導入では、1990年代以降、欧州(EU)での取り組みが世界的に先行して進んでおり、欧州28カ国全体での割合も2017年には30%を超え2019年には約34%に達している[4]。太陽光発電および風力発電といった変動する自然エネルギー(VRE)の割合も欧州全体で約18%近くと、日本国内の約8%の2倍以上に達している。2018年にはEU28カ国全体で電力分野以外の熱分野や交通分野を含む最終エネルギー消費に対する自然エネルギーの割合が18%まで増加しており、すでに12カ国が2020年の自然エネルギー割合(最終エネルギー消費)の各国目標を達成している[5]

主要な欧州各国の自然エネルギーによる2019年の発電量の割合の内訳を図4および表3に示す。変動する自然エネルギー(風力および太陽光)VREの割合がすでに50%以上に達しているデンマークでは年間発電量に占める自然エネルギーの割合が約84%に達した。この内訳としては、風力が約52%を占めており、太陽光と合わせてVREの割合が約55%に達している。一方、変動が小さい水力の割合が高い国としてはオーストリア、スウェーデンが年間発電量に占める自然エネルギーの割合が60%以上に達しており、オーストリアが約78%、スウェーデンが約61%になっている(水力発電の割合はオーストリアが約60%、スウェーデンが約40%)。ポルトガルは自然エネルギー割合が50%を超えてVREの割合も約28%に達しているが、イタリア、ドイツ、イギリス、スペインにおいても自然エネルギーの割合が40%前後にまで高まっている。VREの比率もドイツでは29%近くまでになり、イギリスやスペインも25%前後になっている。原発の比率が70%に達するフランスでは自然エネルギーの割合は20%程度に留まっており、VREの比率も8%程度と日本と同じほぼレベルである。バイオマス発電の割合が高い国としては、デンマークで29%、イギリスで11%に達するが、2030年に向けたEU指令(RED II)では、バイオマスの持続可能性の基準がより厳しくなってきており、これらの国々では海外からのバイオマスの輸入が今後、難しくなる可能性がある。

2020年にスタートしたパリ協定に対してEU全体では2030年までに温室効果ガスを40%削減(1990年比)する気候変動&エネルギー枠組みを2014年に策定し、2030年までの自然エネルギー割合(最終エネルギー消費)の目標を32%以上にしており、電力部門では57%に相当する目標となっている。EU各国は2021年以降2030年までのエネルギー・気候変動対策計画(NECPs)を2019年末までに策定することになっていたが、すでに50%を超える高い2030年の目標に向かって取り組んでいるデンマークやドイツなどの国もある。デンマークが提出したNECPでは、2030年までには年間電力消費量に対して自然エネルギー100%を目指すことが目標になっている。さらにデンマークやスペインでは2050年までの長期目標として脱化石燃料や自然エネルギー100%を目指している(図5)。

図4

図4:欧州各国および中国・日本の発電量に占める自然エネルギー等の割合の比較(2019年) 出所:Agora Energiewende, China Energy Potal, 電力調査統計などのデータよりISEP作成

表3: 欧州各国および中国・日本の発電量に占める自然エネルギー等の割合の比較(2019年)
出所:Agora Energiewende, China Energy Potal, 電力調査統計などのデータよりISEP作成

太陽光 風力 水力 地熱 バイオマス 自然エネルギー 原子力 石炭
デンマーク 3.2%

51.6%

0.0% 0.0% 6.2% 83.9% 0.0% 16.1%
オーストリア 1.4% 11.0% 60.3% 0.0% 5.5% 78.1% 0.0% 2.7%
スウェーデン 0.0% 13.4% 40.2% 0.0% 7.3% 61.0% 40.9% 0.0%
ポルトガル 1.9% 25.9% 20.4% 0.0% 5.6% 53.7% 0.0% 11.1%
イタリア 8.3% 6.9% 15.6% 2.1% 9.3% 42.2% 0.0% 6.2%
ドイツ 7.8% 20.8% 3.1% 0.0% 8.4% 40.2% 12.4% 28.3%
イギリス 4.0% 20.2% 2.8% 0.0% 11.2% 38.2% 17.4% 2.2%
スペイン 5.5% 20.0% 9.5% 0.0% 2.2% 37.1% 21.1% 4.7%
フランス 2.1% 6.1% 11.1% 0.0% 1.2% 20.5% 70.0% 0.7%
中国 3.1% 5.5% 17.8% 0.0% 1.1% 27.4% 4.8%
日本 7.4% 0.8% 7.4% 0.2% 2.7% 18.5% 6.5% 27.8%

 

図5

図5: 欧州各国および日本の自然エネルギー電力の導入実績・目標 (出所:EU統計局、Agora EnergiewendeデータなどからISEP作成)

中国の自然エネルギー電力の割合

水力発電に加えて風力や太陽光の導入がこの10年間で急速に進んだ中国では、2019年には風力発電の割合が5.5%、太陽光発電が3.1%でVRE比率がすでに8.6%に達している[6]。水力も含めた自然エネルギーの全発電量に対する割合は26.4%に達する(図6)。風力発電の設備容量は200GWを超えており、太陽光発電の設備容量も205GWと同じレベルに達している。世界全体の風力発電および太陽光発電の設備容量もそれぞれ累積で600GWに達しており[7]、その約3分の1を占めることになる。中国の年間発電量の規模(約7300TWh)は、欧州28カ国全体3200TWhの2倍以上あり、日本全体の年間発電量1000TWhの7倍以上である。そのため、発送電分離や電力市場の整備など電力システムの改革については欧州の様々な技術やノウハウが導入され、日本よりも先行して進んでいる状況と考えられる。

図6

図6:中国国内の自然エネルギーによる年間発電量および割合のトレンド (出所:China Energy Portalのデータより作成)

参考文献・注

[1] 電力調査統計 http://www.enecho.meti.go.jp/statistics/electric_power/ep002/

[2] 推計では2019年10月以降の自家発、家庭用太陽光の自家消費量推計については前年値を用いているが、影響は小さいと考えられる。

[3] ISEP「【速報】日本国内の電力需給(2019年)における自然エネルギー割合」(2020年2月19) https://www.isep.or.jp/archives/library/12464

[4] Agora Energiewende “The European Power Sector in 2019” https://www.agora-energiewende.de/en/

[5] “The state of renewable energies in Europe, edition 2019, 19th EurObserv’ER Report” 2020 http://www.eurobserv-er.org/

[6] China Energy Portal https://chinaenergyportal.org/en/

[7] 松原弘直 “新たなステージを迎えた世界の自然エネルギー” Energy Democracy (2020年2月) https://www.energy-democracy.jp/3024