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共同レポート「東京都の再生可能エネルギー100%シナリオ」公表

共同レポート「東京都の再生可能エネルギー100%シナリオ ~グリーン・リカバリーによる 脱炭素化ロードマップ~」

認定NPO法人環境エネルギー政策研究所と国際環境NGOグリーンピース・ジャパンが共同で検討したレポート『東京都の再生可能エネルギー100%シナリオ ~グリーン・リカバリーによる 脱炭素化ロードマップ~』を公表しました。

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東京都の再生可能エネルギー100%シナリオ

概要:

東京都のゼロエミッション戦略の実現をより具体化するために、東京都の2050年までの再生可能エネル ギー100%シナリオを検討し、脱炭素化と持続可能な経済復興(グリーン・リカバリー)との両立を提言した。電力・熱・運輸の各分野での脱炭素化に必要な施策を明確にするために、省エネルギーのポテンシャル と施策例を示した上で、東京都が目指す2030年「カーボンハーフ」(CO2排出量・エネルギー消費量2000 年比50%削減、再生可能エネルギー電力使用50%)を上回るシナリオを提示した。
2030年の再生可能エネルギー電力の割合を50%から100%まで比較を行い、2050年までの脱炭素化(ゼロエミッション)と共に 再生可能エネルギー100%を実現するシナリオを検討した。このグリーン・リカバリーを前提としたシナリオでは、2030年のエネルギー消費量は55%削減、再生可能エネルギー電力比率が50%のときにはCO2排出量は65%削減となるが、2030年再エネ100%シナリオでは82%削減となる。2050年までのゼロエミッション東京 の実現へのロードマップを示し、実現のための10の提言を行った。さらに省エネルギーおよび再生可能エ ネルギーによる設備投資額の費用と光熱費削減による便益の分析を行い、本シナリオによる経済的な効果を示した。

本シナリオにより以下のことが明らかになった。

(1) グリーン・リカバリーを前提とした省エネルギーシナリオにより、2030年にエネルギー消費量を55%削減(2000年比)し、2050年には72%の削減を達成することができる。

図 A:省エネルギーシナリオでのエネルギー消費量(部門別)の推移

(2) 脱原発を前提に2030年に再生可能エネルギー電力の割合を50%以上とした場合、脱石炭をすることでCO2排出量を65%以上削減することができ、東京都の「カーボンハーフ」の目標を上回るCO2排出量の削減が実現できる。さらに2030年再生可能エネルギー由来の電力の割合の目標を50%から100%まで引き上げることで、CO2排出量は80%以上削減できる。

図 B:再生可能エネルギー 100% シナリオにおける CO2 排出削減率の比較

(3) 2030年再生可能エネルギー電力の割合の目標を50%から100%まで引き上げることで、2030年までの再生可能エネルギーの設備投資額が増え、経済波及効果や雇用などグリーン・リカバリーをさらに進める効果がある。

図 C:再生可能エネルギーシナリオにおける経済波及効果および雇用の比較

(4) 脱原発と脱化石燃料を実現し、東京都の域内の再生可能エネルギーの導入を中心として、域外からの太陽光および風力発電の電気の調達により2050年に脱炭素化・CO2排出量ゼロ(ゼロエミッション)を再生可能エネルギー100%により達成することが可能。

図 D:再生可能エネルギー 100% シナリオでのエネルギー構成(2030 年電力再生可能エネルギー 50%)

(5) 省エネルギーによる便益(光熱費の削減から投資額を引いた金額)は、2020年から2050年までの累積で22兆円に達し、設備投資および光熱費削減に伴う経済波及効果は約61兆円(都内31.1兆円、都外29.5億円)に達する。省エネルギーによる雇用は13.5万人(都内6.5万人、都外7.0万人)となる。再生可能エネルギーの導入による経済波及効果は、2030年までの再生可能エネルギー電力の比率を100%とした場合、2020年から2050年までの累積で約41兆円(都内7.7兆円、都外33.7兆円)となり、雇用は9.5万人(都内1.4万人、都外8.1万人)となる。

図 E:省エネルギーおよび再生可能エネルギーによる投資額等の費用および経済波及効果の試算

 

10の提言

  1. 再生可能エネルギー 100% による 2050 年ゼロエミッションの実現
  2. 野心的な目標の法定化
  3. 再生可能エネルギー 100% に向けた域内の設備導入の促進
  4. 再生可能エネルギー 100% に向けた調達の仕組みの構築
  5. 情報提供の拡充
  6. 業務部門と家庭部門の断熱建築・ZEB/ZEH、再生可能エネルギーの確実な普及
  7. 業務部門の面的な省エネルギーおよび再生可能エネルギー等利用の推進
  8. 運輸部門のエネルギー効率化と支援
  9. 市民参加・マルチステークホルダーの推進および専門家による支援制度
  10. 公正な移行に基づくエネルギー転換の推進