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【イベント】自然エネルギー促進のための持続可能な金融

 ワークショップ:自然エネルギー促進のための持続可能な金融  議事要旨 
 日本の持続可能なエネルギー投融資とイニシャチブに向けて

PDFバージョンの議事要旨(25頁)はこちら

(以下、敬称略。当日プレゼン資料(PDF)は各発表者の発言の最初に配置。)

主催者挨拶

  末吉 竹二郎 (国連環境計画・金融イニシャチブ特別顧問)
  飯田 哲也 ISEP所長、自然エネルギー市民基金代表理事

基調講演

「SEFI Creating the climate for change」
  エリック・アッシャー UNEP自然エネルギー・金融部門長

基調講演Q&A

政策セッション

「東京都の温暖化対策と金融機関との連携」
  大野 輝之  東京都 環境局企画担当部長 

「新エネルギーの推進と金融」
  市川 類  経済産業省 新エネルギー対策課 RPS 推進室室長 

「金融のグリーン化を目指す環境省の取組」
  鎌形 浩史 環境省 総合環境政策局環境経済課長

政策セッションQ&A

ビジネスセッション

「風力発電事業へのファイナンス例」
  澤柳 壽宏 みずほコーポレート銀行
   プロジェクトファイナンス営業第二部  インフラ・環境チーム 参事役

「Finance for Wind Power Project」(英文)
  堀 俊夫  株式会社グリーンパワーインベストメント 代表取締役

「カーボンアカウンティング(炭素会計)への取り組み」
  小田原 治 みずほコーポレート銀行
   プロジェクトファイナンス営業第一部 グローバル環境室 室長 

ビジネスセッションQ&A

コミュニティーセッション

「持続可能な社会のカギとなる市民の地域エネルギーオーナーシップ」
  飯田 哲也 ISEP 所長、自然エネルギー市民基金 代表理事 

「ap bankについて」(配布資料なし、当日プレゼン資料は後日掲載予定)
  見山 謙一郎 ap bank CEO

コミュニティーセッションQ&A

クロージングセッション

開催日時: 2007年2月9日(金) 13:00-17:30(無料)*18:00-レセプション

会場: 国際文化会館別館講堂 東京都港区六本木5-11-16

主催: 自然エネルギー市民基金
国連環境計画 持続可能なエネルギー金融イニシャチブ(UNEP-SEFI)

協力: NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)

後援: 東京都環境局

主催者挨拶

 末吉 竹二郎 ( UNEP-SEFI 特別顧問)
 飯田 哲也 ( ISEP 所長、自然エネルギー市民基金 代表理事)

飯田:
本日は日本ではじめての UNEP-SEFI のワークショップということで、議論を進めていきたい。

末吉:
私には 2 つの危機感がある。 1 つは温暖化の進行そのものへの危機感。もう 1 つは日本の対応の仕方に対する危機感。このままでは日本は世界の中で埋没しかねないという危機感から SEFI の活動に関わり、エリックや飯田さんと協力して今日のワークショップの開催に至った。そのため、今日のワークショップ 1 回きりにならないようにしたい。できれば SEFI Japan を設立し、日本だけのためだけでなく、アジアのためということも視野に入れながら議論をしていきたい。

基調講演

「SEFI Creating the climate for change」(PDF:日本語) (英語版)

 配布資料:SEFIレポート抜粋資料(PDF:日本語)

 Eric Usher ( UNEP 自然エネルギー・金融部門長)

<概要>

持続可能なエネルギー関連分野への世界の投資傾向と、国連環境計画持続可能なエネルギーファイナンスイニシアチブ( UNEP-SEFI )の活動を紹介する。持続可能なエネルギーとは自然エネルギーや省エネルギーを意味する。

まず、持続可能なエネルギー関連分野、特に自然エネルギーへの世界の投資傾向を概観する。世界の投資総額は、約 10 年前の 20 億ドル程度から徐々に増加し、 2004 年には約 280 億ドル、 2006 年には約 710 億ドルと近年大きく増加している。増加の要因は、大きく次の 3 つである。石油価格の増加、エネルギー安全保障、そして気候変動である。ただ、ヨーロッパでは、最近、その他の要因として企業の社会的責任(CSR)への関心が高まっていることも挙げられる。

2006 年の世界のエネルギー供給量における“新しい自然エネルギー”技術(大型水力を除く)の占める割合は 2% 程度であるが、投資額では約 10% を占める。投資家としては、すでに将来に対して投資していることとなり、さらなる自然エネルギー関連分野の拡大が期待されている。

投資形態は、第一に、技術や生産設備に対するベンチャーキャピタルやプライベートエクイティー、株式市場、企業や政府の研究開発、第二に、風力発電ファームなどのプロジェクトに対するアセットファイナンス、第三に、 M&A や MBO などの既存の投資に対するリファイナンスが挙げられる。特にベンチャーキャピタルやプライベートエクイティー、株式市場、リファイナンスが大幅に増加し、以前と比べて主流化した。これは自然エネルギー関連市場の成熟の兆しを示している。

ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティーに関しては、バイオ燃料に対する投資が最も多い。風力に対しては、研究開発よりも生産設備への投資が多く、技術的に成熟した分野であることを示す。アメリカは最もベンチャーキャピタル取引が盛んで、中国がそれに次ぐ。株式市場では、太陽エネルギー関連技術に対する投資が最も多く、主に欧州で盛んであり、株価も順調に上昇している。アセットファイナンスに関しては、風力プロジェクトが最も多くの投資を獲得している。このように、自然エネルギー関連分野では、それぞれ異なる技術の発展段階に応じて、様々な形態の資本を呼び込んでいる。

次に、 UNEP-SEFI の取り組みについて簡単に紹介する。 SEFI の目的は、持続可能なエネルギー・ファイナンスの“コミュニティー”を育てることである。そのコミュニティーは負担を分かち合い、投資への障壁を取り除くように、金融に携る人々を結びつけて、公的私的な部門間の協調を目指す。具体的には、投資状況報告書の作成などの情報提供、金融関係者間のネットワーク形成の促進、パートナーシップの構築を行っている。

今後は、 SEFI が日本においてどのような協力の枠組みを構築できるか、日本、アメリカ、ヨーロッパがどうのように協力体制を築けるか、また日本の金融機関がアジアにおいてどのように投資を拡大できるかが課題となる。

<基調講演Q&A >

諏訪:
(ISEP)
アメリカでは production tax credit (税控除政策)のような自然エネルギー優遇税制に関する国家的政策があるが、そのような国家的エネルギー政策が自然エネルギー投資の拡大に対して果たす役割についてコメントいただきたい。

Eric :
政策と言ってもエネルギー政策と、もっとミクロな政策、例えば太陽光発電に関する補助政策などがある。自然エネルギー技術開発については、ベンチャーキャピタルがアメリカで大きな役割を果たしている。しかし、ヨーロッパではベンチャーキャピタルはあまりうまく機能していない。そのため、産業政策で後押しする必要があると考える。

橋本:
(野村ホールディングス)
アジアで投資を考えている。ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティーはそれなりのリターンがないと投資できない。しかし、リターンが下がってきている。アジアではリスクをとりにくくなってきている。

Eric :
各市場におけるリターンの予測はわからない。しかし、全般的には、開発側が条件を設定できるようになると徐々にリターンが下がる傾向がある。例えば、アメリカではプロダクションタックスクレジット導入以降、風力発電事業の競争が白熱し、リターンは下がってしまった。そのため、需給バランスの観点から、需要に対して良質なプロジェクトの供給が課題となる。また、別の観点からは、投資家がその市場でリターンが見込めないと判断すれば、新しい市場に展開するだろう。例えば、ドイツの大手銀行はすでに海外への投資を開始している。

政策セッション

「東京都の温暖化対策と金融機関との連携」(PDF)
 大野 輝之  東京都 環境局企画担当部長 

<概要>

東京都の環境対策を金融との絡みで紹介する。東京都の大きさは、人口 1200 万人。エネルギー消費量は一国分に相当する。東京都のこれまでの取り組みは、大きく 3 つの柱で行ってきた。第一に、大規模事業者に対する CO2 削減計画の評価・公表制度。第二に、大規模建築物の省エネ設計の評価・公表制度。対象の半数はマンションであるがマンションについては、星の数で環境性能を表示するラベリング制度を創設しており、このラベリングに表記された星の数に応じて金利優遇がなされる金融商品を住友信託銀行に商品化していただいている。第三に、家電製品等の省エネラベリング制度。各家電製品の省エネ性能が比較評価できるよう省エネ性能の段階表示を行うものだが、昨年度、国でも法制化されている。

こうした取り組みの中で特に重視したのは、市場と連携した環境政策の実現を図るため、行政だけではなく、経済活動の血液ともいえる金融機関と連携した取り組みを行うことであった。こうした背景から、約 2 年前に「環境金融プロジェクト」を開始した。都庁へ都内の金融機関を招いて「環境ファイナンス東京会議」を開催し、その会議において、知事から各金融機関へ環境政策への協力を要請した。現在までに 6 つの環境金融商品が誕生している。

今後の見通しについてであるが、昨年の暮れ(平成 18 年 12 月)に東京都は、「 10 年後の東京」という総合的な戦略を発表した。環境対策は重要項目として位置づけられており、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現する、世界一の温暖化対策で子どもたちに豊かな環境を引き継ぐため、「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」を東京全体で展開するとしている。 CO2 排出削減については、「 2020 年までに 2000 年比で 25 %減」を新たな政策目標として設定した。この 10 年プロジェクトを実現するためには、民間企業との連携や局間での横断的な連携が必要であるため、まずは庁内横断の推進組織を設置した。また、財政面では5 00 億円の地球温暖化対策推進基金を設立することで、現在、 19 年度予算案として都議会で審議いただいている。「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」の骨格としては、省エネ、再生可能エネルギー、交通、環境技術ビジネス、環境教育やロンドンなど大都市との連携などの5つの柱を掲げている。

現時点での取組状況としては、校庭の芝生化、都庁舎等におけるグリーン電力の購入、第二世代バイオディーゼルの実用化にむけた共同プロジェクトを行っている。また、 100 万キロワット相当の太陽エネルギー利用に向け、「太陽エネルギー利用拡大会議」を設置し、企業やエネルギー事業者等とともに、都内での太陽エネルギーの利用拡大にむけた検討を行っていく。これは、太陽エネルギー利用を東京から拡大していくという狙いがある。

環境金融プロジェクトの今後の展開としては、今後、特に、「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」の推進にむけた連携を図っていきたい。500億円の地球温暖化対策基金の効果を高めることや、再生可能エネルギーの利用拡大、中小規模事業者の温暖化対策、環境性能の高い建築物の不動産価値を高めていくことなど、金融機関とのさらなる連携を促進していきたい。

「新エネルギーの推進と金融」(PDF)
 市川 類  経済産業省 新エネルギー対策課 RPS 推進室室長

<概要>

経産官庁としては、通常、金融は市場メカニズムの中で動くものという発想。今回のプレゼンテーションは、個人的意見も含めていく。

経済や社会にとって新エネルギーは重要。エネルギーの安定供給や地球環境問題の観点からもそうである。取るべき対応の方向性としては、需給関係において、どう再生可能エネルギーを普及させるかが世界的な課題である。

経産省では、最近、新エネルギーの定義を見直した。新エネルギーには、コストの高いものもあり、地域的にも異なる。普及に向けてコストの高いものをどうするか考える場合、石油や石炭の外部費用を内部化するという議論もあるが、経産省では、イノベーションを促進していく方向性で考える。

新エネルギーの基本政策としては、研究開発等によるコスト削減とRPS等による導入普及が挙げられる。太陽光に関するサンシャイン計画が新エネルギー基本政策の先駆けであり、昔と比べて 100 分の 1 にまでコストは下がってきた。 NEDO は過去 2000 億円を投じてきており、このような研究開発の成果や国との政策の中で現在の市場が出来てきた。

金融連携は今後あり得るかもしれない。新エネルギーは、他のエネルギー産業とは違う。石油や電力産業にとってはビッグビジネスとなる。新エネルギーの特徴は、分散型であり小規模であること。金融のあり方も違ってくる。投資家も違ってくる。中には新エネルギーのためにプラスアルファーを出すと言っている人もいる。金融連携に関して、 RPS 室としては、今のところやっていないが、市場メカニズムを考える中で何か出来る事があるかもしれない。

「金融のグリーン化を目指す環境省の取組」(PDF)
 鎌形 浩史 環境省 総合環境政策局環境経済課長

<概要>

環境省は、環境と経済の統合の観点から金融のグリーン化に取り組んでいる。環境と経済の統合に関する取組としては、環境負荷の少ない製品、サービスの需要を創出するグリーン購入、環境税をはじめとする税制のグリーン化などがあるが、いずれも環境に努力した人・企業が報われるようにするという狙いがある。金融に関しては、一年ほど前に取り組み始め、有識者や金融機関に集まってもらって懇談会を持ち、議論をし、報告書をまとめた。懇談会では、桁違いに日本における企業の社会的責任投資 ( SRI )が少ない、融資といった面では、行政の役割は環境配慮の金融の流れを支援する事であるといった指摘がなされた。

こうした議論を受けて、来年度予算で環境金融を進めるための予算を確保した。

まず、地域で頑張っているコミュニティーファンドを応援していきたい。コミュニティーファンドでやっている所っていうのは、必ずしも儲け主義ではない。コミュニティーファンドや事業者がプロジェクトを考えるプロセス自体を応援していく。また、温暖化対策に関しても金融面からアプローチしていく。京都議定書目標に関しては、日本は厳しい状況。政策投資銀行や自治体が関わる既存の融資制度を活用しながら、温暖化対策で頑張っている企業、超低金利の融資を行うようにしていきたい。

政策投資銀行においては、世界初の環境格付けを用いた融資制度をスタートしており、 5 年以内に CO2 排出を 5 %削減すると約束したところに対しては、 1% 利子を減らす仕組みを導入する。環境ファンドに対する出資や、さらに、銀行が抱える環境配慮型企業への債権を SPC (特別目的会社)が証券化し資金調達を円滑化する際に、政策投資銀行が支援する仕組みも導入する。

地方公共団体が関わる融資制度においても、地域の環境温暖化推進計画の推進に資する事業に対して超低金利で貸し出していく仕組みを導入する。

今後、環境に対して努力した人・企業が評価され、優先的に選択されてゆくような政策をさらに充実させていきたい。皆様からも知恵を貰いながら進めていきたい。

<政策セッション Q&A >

Eric :
現在、気候変動に対するグローバルな協定というものは結ばれていないが、安定成長セクターの裏付けとして国家の政策が必要かというと必ずしもそうではない。自治体を含むさまざまなセクターの取り組みが輪となって成果が生まれるのであって、国連の機関が政策を出せば解決するというものではない。

船曳:
(会場から)
政策セクターには、「政策の継続性」と「アナウンスメントと猶予期間」を期待したい。「政策の継続性」について、 RPS 法の 2014 年までの目標値設定では短すぎる。たかだか 8-9 年の期間では、お金を出す側が判断できない。温暖化対策も含め、なるべく長期的な目標を国が設定し、明確に政策の継続性を示すことで金融セクターにも効いてくるはず。「アナウンスメントと猶予期間」について、 RPS 法導入の際にも経験したが、たった 1-2 年では準備できない。準備期間の与え方とそのアナウンスメントが明示されれば、設備に融資する金融機関の側も判断をしやすくなるのではないか。

Eric :
重要な論点として、カーボンマーケットの期間の短さが欠点となっていることが挙げられる。どうやって長期的な収益の見通しを与えるのか。期待はするが、答えが見えていない状態にある。

末吉:
2001 年に UNEP が気候変動についてオピニオンを出している。そこで、行政当局が長期に渡る大きなフレームを作らなければビジネスは進まないということを述べている。また、金融機関も行政当局ともっと話をするようにと述べている。両者が従来の概念にとらわれていては、気候変動問題は解決できない。さらには、民間企業や市民社会を含む社会のアクターたちが協力していくことが重要である。

鎌形:
金融における短期的・長期的なものの見方が重要であるということを感じた。役所は 5-10 年先のことを考えるのは一番苦手なのだが、改めて長期的なビジョンが重要であると感じた。

市川:
個人としては、金融を維持することを目的に政策を続けるのかというと、それもまた変な話になるのではないかと思う。また、世の中の情勢が今後変化するかもしれないという中で、一方長期的なことを考えていかなければならないという点が難しい。

大野:
2年前はじめて金融機関との対話を開始したとき、正直にいってどのように金融機関の方々に相談すればいいのかよくわからなかった面もあった。しかし、ある金融機関の方から、「東京都は環境面で何が問題になっているのかを教えてほしい。私たちは金融の専門家なので、金融面で何ができるのかは私たちが考えます。」と言ってもらい大変うれしかった。我々は限界を決めずに取り組んでいきたい。 500 億円の基金については、単なる補助金等ではない効果が複合化していくような効果的方法について、うまい枠組みを検討していきたい。

飯田:
議論を十分尽くすことはできなかったが、これでとりあえずは自然エネルギーと金融が政策のアジェンダに載ったのではないだろうか。

ビジネスセッション

「風力発電事業へのファイナンス例」(PDF)
 澤柳 壽宏 みずほコーポレート銀行
  プロジェクトファイナンス営業第二部  インフラ・環境チーム 参事役

<概要>

風力が好きでプロジェクトファイナンスを扱い9年が経っている。

金融の側面から見た場合、プロジェクトファイナンスはコーポレートファイナンスと異なり、事業に関して債務保証がない点が特徴である。親会社からのサポートが限られるため、事業が成功するかどうかが決め手。つまり事業リスク等が関心事項となる。

具体的には風力発電事業だけをやる会社を設立してもらい、そこへ融資をするわけだが、考慮すべき具体的なリスクの事例としては、風量変動のリスクや操業リスク、機械事故、環境・住民問題など。コーポレートファイナンスではそれら全てのリスクを親会社が一義的に負うことになるが、プロジェクトファイナンスでは、係るリスクを、最もコントロールしうる当事者間でシェアし、リスク分散していくことになる。

今後の展開や課題を紹介すると、電気価値とRPS価値の分離販売と言うものがある。

従来一本の契約が2つに分離されることになるため、契約間の整合性や、長期継続性が守られていることが必要。金融機関が取り切れないリスクもあるので、いかにリスクシェアリングを図ることができるかが重要である。

事業自体に係る課題としては、低減傾向にある売電単価と変動する発電量の一方、建設費について資材の高騰、為替の問題、納期などがある。また、RPS 単価の変動と言ったものをどのように見ていくのか。 RPS 法そのものについて、15~20 年というスパンをみていく必要がある。さらに、税制の優遇政策に関しては、日本には改善の余地があるのではないだろうか。

「Finance for Wind Power Project」(英文PDF)
 堀 俊夫  株式会社グリーンパワーインベストメント 代表取締役

<概要>

日本人は個人資産として 1,500 兆円持っている。その一部を風力発電に向けたい。約 20 年前アメリカにおいて、私はトーメンで風力を始めた。イギリス、スペイン、イタリア、そして日本とで合計 2,000 本以上の風車を立て運営してきた。 1990 年には 660 本。金額にして 350 億円相当をプロジェクトファイナンスでやった。

分かった事は、風力にはリスクがないと言う事。通常、競争というリスクがあるが、当時は 30 年の売電契約があったのでそういったリスクがない。また、風力には燃料コストがかからない。石炭とかガスとは違う。風況の予測も安定している。今はコンピューターモデルの進歩とノウハウの蓄積により予測の精度は高くなっている。

より多くの金融機関に参加してもらい、風力発電を拡大してゆきたい。それがグリーンパワーインベストメントの目標である。

銀行からの融資およびエクイティーの部分を証券化する事が狙いで、一般投資家、機関投資家には証券を買ってもらう。しかし日本では風力はやっと始まったばかり。規模も小さい。 EU では、機械が調達できないぐらいに活発であり、拡大もしている。実質的な代替エネルギーとしての位置づけとなっている。

グリーンパワーインベストメントとしては、国内外を対象とし、現在、約 1,400 億円規模の事業権を獲得しています。今後 2 、 3 年で事業を実現する予定です。 最初に私に投資してくれたのは、元ニューヨーク市長のジュリアーニ氏や三菱商事などである。 2 年前に設立したばかりの会社だが、風力発電への投資法人を目指していきたい。

「カーボンアカウンティング(炭素会計)への取り組み」(PDF)
 小田原 治 みずほコーポレート銀行
  プロジェクトファイナンス営業第一部 グローバル環境室 室長 

<概要>

カーボンアカウンティング(炭素会計)というタイトルであるが、既成概念にはとらわれないでほしい。炭素会計とは一般的には、自らの事業活動から発生する CO2 量の把握すること。 本件は、銀行が融資した事業から発生する CO2 を間接的に対象とする。環境 会計というものがあるが、直接関係はない。金銭評価せず、排出量のみを把握する仕組み。

みずほの炭素会計は、対象事業をプロジェクトファイナンスで融資した発電事業に限定している。プロジェクトファイナンスを対象とするのは融資の資金使途が明確であるから。発電事業を対象にするのは、全世界の CO2 排出量の約 3 分の 1 を占めていると言われているためである。また、排出量と排出削減量を算定するのが特長。

欧米の金融機関では、シティーグループや JP モルガンチェースなどが環境 NGO からの要請に応える形でこのような取り組みをしている。環境 NGO は、最近の事例ではテキサス州ダラスの電力会社 TXU コーポレーションの石炭焚き発電所プロジェクトに対し、 CO2 排出量が巨大であることを理由に反対キャンペーンを展開している。

世銀グループの民間プロジェクト向け融資機関である国際金融公社( IFC )は、昨年 4 月に環境行動基準を改定したが、公害問題の対策の中に、年間 10 万トン以上の CO2 排出があるプロジェクトについて、 CO2 の排出量を把握することを導入した。

みずほとしては、こうした欧米金融機関の動きを踏まえ、まず、第一歩として出来る事からやっていこうという考え。今後、取り組み内容をより効果的なものに見直していく予定。

算定方法については、事業から排出される CO2 量の算定に加え、すべての発電事業を石炭焚き火力に置き換えた場合の排出量に対比した削減量を算定する。石炭から排出される CO2 量を100とすると、同じ発熱量を得るためには、石油では80(削減量20)、また、天然ガスでは60(削減量40)の CO2 排出量となる。風力発電など再生可能エネルギーでは排出量はゼロ(削減量 100)である。2006年上期実績をみずほのウェブサイトに公表したが、排出量が672千トン、排出削減量が527千トンであった。今後、この数字を継続的に公表していく。

2030 年までの見通しでは、石炭が世界の発電の主たるエネルギー源であり続ける見込みであり、銀行としては石炭プロジェクトへの融資を避けて通れない。環境 NGO とのコミュニケーションの中で、みずほは、化石燃料と再生可能エネルギーのバランスを考慮して融資に取り組んでいることを説明していきたい。

<ビジネスセッション Q&A >

河口:  

(大和総研)
第一に、炭素会計については、おもしろいと思う。どれくらい削減に寄与したのかを明確化できる。しかし、ベースラインどこにもっていくのか?会社の姿勢がとわれていく。その設定の仕方によっては、一般市民にはわからないかもしれないが、知っている人にはあざといと見られる可能性もある。特に発電だけしか対象にしていないのであれば、発電所への融資を低炭素型にする半面で、 CO2 排出量の多い製鉄所などへの融資を増やしている、などの状況があったとしても、後者は開示されなくなる。開示の仕方を誤解されないように工夫した方がいいのでは。

第二に、風力発電について、澤柳氏はリスキー、堀氏はノーリスクと述べる。この意見の差はどこからくるのか?

堀:

競争や技術面で、長期の売電契約書があるためノーリスクということ。欧米ではプロジェクトコストの9割まで銀行がお金を貸すケースもある。市民風車との違いは規模であり、大規模事業を展開しようとするなら、投資に対しての流動性、換金性が必要で、特に、海外プロジェクトへの投資では為替リスクの問題を解決するためにも、ファンド(投資法人)として上場し流動性を持たす事が重要と考えている。

末吉:

銀行はもともと事業の審査機能がある。そのため、徹底してリスクは調べ上げる。直接投資は、リスクがどうなっているのかわかりにくい。そのため、投資家をどう守っていくのかが課題となる。

末吉:
2001 年に UNEP が気候変動についてオピニオンを出している。そこで、行政当局が長期に渡る大きなフレームを作らなければビジネスは進まないということを述べている。また、金融機関も行政当局ともっと話をするようにと述べている。両者が従来の概念にとらわれていては、気候変動問題は解決できない。さらには、民間企業や市民社会を含む社会のアクターたちが協力していくことが重要である。

堀:

リスクがないことをなかなか納得されないこともある。しかし、 2 年前に立ち上げたグリーンパワーインベストメント株式会社には、有名な企業も賛同してくれていることも個人投資家への説得材料であり、本日お集まりの皆様からも多くの支援をお願いしたい。

コミュニティセッション

「持続可能な社会のカギとなる市民の地域エネルギーオーナーシップ」(PDF)
 飯田 哲也 ISEP 所長、自然エネルギー市民基金 代表理事 

主催者の自己紹介も兼ねてプレゼンテーションする。組織としては、有限責任中間法人自然エネルギー市民基金、 NPO 法人環境エネルギー政策研究所( ISEP )、株式会社自然エネルギー・コム、 NPO 法人北海道グリーンファンド、株式会社自然エネルギー市民ファンドが関係する。

まずは、 ISEP について、これは持続可能なエネルギー社会の実現のためのイノベーション・プラットホームとして考えてもらいたい。 ISEP は、政策に特化し、東京都などとのコラボレーションを行っている。活動の 3 つのドメインは、第一に政治ロビー、第二に政策の実現、第三に社会的合意の形成である。現在のエネルギー政策を見ると、上からだけのものとなっている。

次に、自然エネルギー・コムについて、実際に地域エネルギー事業を行っている。本来、エネルギー供給はユーザーの視点に立ったものであるべきという考えに基づいて活動している。

市民基金、市民ファンドに関しては、地域エネルギー事業のファイナンスの部分を担っている。

これらの組織が連携して、自然エネルギーの普及促進へ働きかけ、これまで空想・理想だった自然エネルギーが実現しつつある。エネルギーとは、エネルギーそのものの姿だけではなく社会やマネーの姿と表裏一体なのである。

最初は、北海道グリーンファンドのグリーン電気料金制度から始まった。そして、エネルギー政策にインパクトのある規模で市民風車を作ることが進められた。 2000 年の当時は、オープンソースの研究会といった形で始まり、 2001 年の市民風車建設にあたっては、堀さん(現グリーンパワーインベストメント代表取締役)からの協力もあった。

これらの活動の中でもっとも苦労したのは、原子力屋、環境屋、ビジネス屋、 NGO のそれぞれ異なる言葉を乗り越え、ひとつのものに落とし込む作業だった。日本で初の市民風車「はまかぜちゃん」を通じて、それぞれの違いや協力体制のあり方などを学習し、日本各地にさらに広めていくための市民ファンドと市民基金を作った。

これは、市民社会のキャパシティービルディングにとって重要であった。イノベーションといったものは、周辺から生まれてくるものである。例えば、ドイツの爆発的に普及する風力の背景には、デンマークの三者協定があった。また、ドイツのアーヘンモデルから Feed I n Tariff (固定価格制)が生まれた。ローカルからイノベーションが生まれる。

市民風車が広げたイノベーションに関しては、地域に環境エネルギー事務所をつくる取り組みがある。環境エネルギー事務所は、行政・ NGO ・自然エネルギーベンチャー企業の機能を兼ねている。市民出資による取り組みは、飯田市での太陽光発電+省エネ、備前市での省エネ+バイオマスといったものがあり、少しずつ広がってきている。しかし、風力以外では難しいところもある。事業種毎に、また、開発ステージ毎にリスクが違う。

地域社会での合意形成においても難しい点がある。エネルギーサービス事業が地域に下りてきた時、なかなか理解してもらえない。エスコ?市民出資とはなんだ?と言う感じ。これらに対しては、公的な場よりそれ以外での草の根的なアプローチが重要かもしれない。また、分散型地域エネルギー事業によって各地域に経済的リターンをもたらすことも重要である。もちろん政治も重要。地域で事業をする場合は、ファイナンスの観点から、オーナーシップが重要になる。 ”Inverse NIMBY” (うちの土地には駄目という概念の逆)のように、出資者という形でオーナーシップがある場合には、それをポジティブに受け入れられる。地域の人々が、問題をより深く掘り下げて考えるようになる。

政策投資銀行が市民ファイナンスの本を出したが、 PPP 、 Public People Partnarship と言う視点、 Public-private から Public-people へ。従来欠けていた部分を補っていく必要性は大きい。

「ap bankについて」(apbank HP内会社概要へリンク apbank融資先を掲載)
 見山 謙一郎 ap bank CEO

<概要>

まず ap bank の紹介をしたい。アーティストが始めた融資団体で、東京都に貸金業登録をしている。なぜ、アーティストが?という疑問があると思う。坂本龍一氏が GLAY の TAKURO 氏とともにスタートさせた「 Artists’ Power 」という活動に、小林武史氏や櫻井和寿氏が参加し、小林氏の呼びかけで環境問題に関する勉強会がスタートした。そこに未来バンクの田中優氏が講師に来られ、お金の流れと社会問題の繋がりについて学ぶ。

我々が銀行の融資の実態を見たとき、自分たちの信じたところへ、もっとお金を使ってもらいたいという思いがあった。そこで、小林、櫻井、坂本氏が、自己責任で拠出して環境プロジェクトへの融資を開始した。

ap というのは、 Artist Power と Alternative Power の 2 つの意味がある。有限責任中間法人という非営利の法人組織としてアーティストも審査に参加している。一次審査としてはプロジェクトの定性、二次審査は財務。最後に、必要に応じ、面接し、融資を決定する。 田中優氏が環境面でのプロジェクト審査を行い、私は財務面での審査。小林武は森を見るかのように全体的な整合性を図り、桜井和寿は木を見るかのように個々の特徴を掴む。これまで、融資の実績は 44 件行われている。

アーティストがどのように参加するかというと、 ap bank fes という野外ライブイベントを行っている。 ap bank の活動に賛同してくださった多くのアーティストにも参加していただき、エコレゾ(エコな共鳴が自然と浸透するように)をテーマに 2005 年と、 2006 年と過去 2 回開催している。このイベントの収益金は ap bank の融資原資等活動資金となる。

融資先の約 6 割は、 NPO 法人や個人、任意団体。その他に、会社にも融資している。環境と言っても多岐にわたるが、最近は(環境)教育の関連が多い。地域としては、都内や関東は多いが、九州もある。北海道や四国ではまだ実績はない。

結果としてポートフォリオ的なバランスも良い。補助金事業のつなぎとして申請してくるところもある。全国には、 9 つの NPO バンクがあり、もっと広がってほしい。ヨーロッパの Social Bank に少しでも近づけるように頑張りたい。

<コミュニティーセッション Q&A >

土橋:

(日本政策投資銀行)
市民風車から太陽光やバイオマスへと広がってきているが、事業種が変わると ノウハウなども違って難しいところがあると思うが、どのように対応しているのか 。

飯田:

太陽光はハードの設置なので比較的シンプル。飯田市のおひさまモデルでは kWh 当りの単価で競争入札をした。また、市役所とパートナーを組んで、公共施設への設置が可能となった。発電量計測については、インターネットを利用して遠隔でメータリングできるようにした。グリーン電力証書も発行している。エスコについては、地元で小規模エスコの技術をもっているところとチームを組んで、われわれも新しい知識を取り込み、学習しながらやってきた。バイオマスについては、ペレットボイラー・ストーブを検討しており、スウェーデンの会社と組んでエンジニアリングを考えている。特に、飯田市では行政との密接なコラボレーションが重要だった。最終的には、それぞれのステークホルダーが Win-Win になるようにやる必要がある。

末吉:

銀行はもともと事業の審査機能がある。そのため、徹底してリスクは調べ上げる。直接投資は、リスクがどうなっているのかわかりにくい。そのため、投資家をどう守っていくのかが課題となる。

本橋:

(中野区)
大変参考になった。「オーナーシップ」という新たなキーワードは私たちにとっても重要なところであり、当事者意識をもって取り組んでいきたい。

末吉:

一般市民は本当にお金が戻ってくると思っていたのか?

飯田:

最初のはまかぜちゃんのときは、誰も戻ってくると思っていなかったようだ。出資者へのアンケート結果によると、市民風車の出資者で以前に投資経験がある人は約 20 %。一般的な投資経験はおよそ 10 %なので、 2 倍ということになる。最近の出資者は、基本的にはリターンがあるという前提で出資している。これまでは「環境」という切り口から入ってくる人が多かったが、これからスケールアップしていく上では、「経済」という切り口から入ってくる人たちを取り込んでいかなければならない。

末吉:

ap bank から資金を借りることで世間から注目されるのでは?

見山:

ap bank はメディアとしての機能もある。そのため、周囲から注目され認知度が上がる。そこから新しいつながりが生まれることもあり、良い循環が生まれている。今後はどのように情報を開示していくかがポイントになる。

谷口:

(東京都)
東京都は再生可能エネルギー普及などのために 500 億円準備している。東京都は再生可能エネルギー戦略で 2020 年に 20 %を再生可能エネルギーで賄うことを打ち出した。 これを実現するには、例えば風力発電で見積もっても1兆円かかる。そうした事業実現のために、 500 億円をどううまく使うか。現在のしくみを超えた提案として、ぜひ、多くのみなさんから政策を含めた提案をしてもらいたい。

末吉:

500 億といわず、レバレッジすれば 5000 億になる。

堀:

今後、普及拡大をはかっていく上で、シードマネー、つまり開発段階のお金を金融機関がいかに出せるかが一番大事なところとなってくる。その際に、先駆者の経験や知識が重要になる。どのようにチームを組んでいくかも重要なところ。

クロージングセッション

倉阪:

(千葉大学)
2 点の指摘がある。第一に、地方自治体の役割がどれくらい認識されているのか。地方によって最適な利用可能な自然エネルギー資源は異なる。第二に、自然エネルギーと言えば、風力という印象を受けたが、ほんとうに日本で風力が最も適しているのかを考える必要があるのでは。 千葉大学と ISEP の共同研究で、市町村ごとの自然エネルギーの供給量を集計しているが、小水力のポテンシャルは大きい 。風力だけの枠組みをつくるのはどうかと思う。

末吉:

風力だけではないというのは私も同感。地球温暖化対策においては、 or ではなく and である。風力か太陽かではない。

本橋:

(ISEP)
風力発電に投資するなど、環境保全に貢献することを通じて、お客様に選んでもらえる金融機関となるために、どのようにマーケティングしていくのか、お伺いしたい。

堀:

もちろん、風力だけではない。だから会社の名前を「グリーンパワー」にした。地球環境問題にしろ、経済的リターンにしろ、動機はなんでもよい。地球環境問題に対して、世の中の関心をより大きくしていくということでよいのでは。

末吉:

今後、 SEFI ジャパンネットワークを構築していきたいが、どのように思われるか。

牧:

(川崎市)
東京都のように 500 億円とは無理だが、パートナーシップのつなぎ役はできる。飯田さんへ質問。市民を巻き込む上で、いま足りないものは?

飯田:

宿題は多いのですが、市民が自分の問題としてどのように関わっていくのかは尽きない課題です。

太田:

(青山学院大学)
自然エネルギーは専門外なのですが、一般投資家の視点からの質問です。発表にもあったように、近年自然エネルギーへの投資が増えているという事だが、日本の状況はどうなっているのか。 今後のこの分野への投資が拡大するとして、 どのくらい CO2 の削減が見込めるのか。ビジョンを聞きたい。また、 自然エネルギーへの投資を一般投資に勧めるためにも、主催団体等の長期的展望というかビジョンを聞きたい。さらに、大規模な バイオマス利用に関して、食料問題への影響はないのか。

飯田:

世界全体で 2050 年には、自然エネルギーと省エネルギーで CO2 を 50% 削減できるという報告がある。市民エネルギー調査会では、原子力も削減し、 2030 年におけるエネルギーシナリオを作成した。食料問題とバイオマス利用に関しては、まだ未開発のバイオマスもある。バイオ燃料が世界市場になるのは間違いないが、第三者機関によって認証されたバイオ燃料を使用する必要がある。

河口:

(大和総研)
今日の議論はどこか消化不良になっているのでは。環境問題に金融を絡ませるとすると環境の価値をやはり金銭換算できないと。お金にならないと金融では話にならない。ただ、金融の仕組みを使えば、今までないようなエコ商品も可能だ。例えば、エコツアーに参加するために乗った飛行機の CO2 排出量をオフセットできる商品―カーボンニュートラル証書をつくるとか。それをカーボンオフセットしたい人に売ることもできるし、またこれを売買する市場をつくれば、値段がつく。つまりCO2削減が資産として計上できることになる。

末吉:

持続可能なエネルギーの観点から出発しているので、それにどう金融を生かせるのか課題である。

Eric :

いくつか要点を述べる。 SEFI のテーマは変化のための環境づくりをすることである。変化は社会が変わって起こるのではなく、リーダーが集まり動くことで、変化が起こる。本日集まった皆さんは、リーダーであり、社会全体がそのあとに続いてくるはずである。ヨーロッパではクリーンエネルギーに関して、 5 つの銀行の 5 名の銀行員が話し合って始めた。結局のところ、その彼らが 7 割から 8 割のヨーロッパにおける風力を牽引したのである。新しい投資環境をつくるために、皆さん自身がリーダーシップを発揮していただきたい。実践する、また先駆者になることはリスクの高いことである。エネルギーセクターでは十分に投資を回収できない場合もある。最初の数回は、障壁があるだろう。しかし、政府系のセクターとして、銀行と投資家が学習曲線を上れるように手助けしていく。

末吉:

是非、ファーストムーバー、もしくはアーリームーバーになろう。ラストムーバーには、ならないでおこう。

飯田:

ボンで開催された SEFI の会議に参加したが、そのときは日本人が 3 人だった。今回日本で開催できて良かった。金融など、各業界間に存在するそれぞれのリテラシーを乗り越えていきたい。