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【プレスリリース】石炭火力発電の推進に反対する共同声明

■趣旨

3月21日、環境エネルギー政策研究所を含む、環境団体など41団体は、「石炭火力発電の推進に反対する共同声明」を発表しました。政府では石炭火力発電所を推進し環境アセスメントを緩和する方針を打ち出したり、東京電力が石炭火力を念頭にした電力入札をはじめており、私たちはこうした方向性を大変憂慮し、この度の声明に至りました。

石炭火力発電は、効率が良い最新技術でも天然ガスの2倍のCO2排出があります。そのため、地球温暖化を加速化させ、政府が掲げている2050年に80%削減するという目標達成も困難とするため、21世紀のエネルギーとしてはふさわしくありません。

本声明では、以下の3つについて強調しています。

1.石炭火力発電所の環境アセスメントは緩和するべきではない
2.東京電力による石炭火力発電所の入札募集は停止すべき
3.政府は石炭火力を抑制する政策を強化すべき

▼引き続き、本声明への賛同団体を募集しています。
賛同される方はこちらから記入・送信してください。

 

【声明の詳細は以下のとおり】

1.石炭火力発電所の環境アセスメントは緩和するべきではない

規制改革会議(議長・岡素之氏)において、規制緩和項目の最優先案件に、「石炭火力発電に対する環境アセスメントの緩和」が挙げられ、

環境アセスメント手続の終盤に示されるCO2排出に関する環境大臣意見の予見性が低いため、石炭火力に相応しい地点が存在し、かつ事業者に開発意欲があっても建設判断が困難な状態にある。石炭火力発電所建設時の環境アセスメント手続におけるCO2排出に関する要件を明確化し予見性を向上させるべき

との認識が示されています。石炭火力発電所の建設をしやすくするためにCO2排出に関する環境アセスメントを緩和するということは、石炭火力発電所が大量のCO2を長期にわたって排出し続け、将来の地球温暖化影響を決定的にしてしまうことを容認することにもなりかねず、見過ごすことのできない大きな問題です。将来の環境汚染や環境対策コストを減らすためにこそ、環境アセスメントは厳格に行われるべきであり、それに逆行する「緩和」はすべきではありません。

 

2.東京電力による石炭火力発電所の入札募集は停止すべき

東京電力は、2月15日より、2019年~2021年の間に稼働を始める260万kWの新たな火力電源の入札を始めました。要綱で示された上限価格(9.53円/kWh)から、入札が石炭火力を念頭にしていることは明らかです。

この入札は、これからも電力需要が大きく伸び続けるという東京電力の過大な予測に基づくものです。しかも、すでに計画されている設備増強もあり、今後3年で再生可能エネルギー電力を大幅に増やす政府方針もある中で、新たな石炭火力発電所設備を新設する必要性は疑わしいものです。

また、2020年頃に稼働開始されれば、2050年以降まで運転が続けられることになり、温室効果ガス排出の80%削減の達成を困難にしてしまうことになります。今、方針転換しなければ、これからの気候を守ることを放棄することになってしまいます。

東京電力による石炭火力発電所の入札募集は停止すべきです。

 

3.政府は石炭火力を抑制する政策を強化すべき。

石炭火力発電は、気候変動問題を加速することだけでなく、炭鉱の際に引き起こされる環境破壊や公害、その他の排出ガスの問題などがあり、世界各地で反対運動が広がっています。

日本も、2050年に80%削減するという政府方針との整合性を図り、今後の石炭火力発電所の建設や石炭利用を抑制する方向で政策措置を講じることを求めます。

<呼びかけ団体>

環境エネルギー政策研究所

気候ネットワーク

WWFジャパン

 

<賛同団体> *50音順 2013年3月20日現在

R水素ネットワーク

あおぞら財団

足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ

おかやまエネルギーの未来を考える会

国際環境NGO FoE Japan

大阪府民環境会議

かわさき気候変動円卓会議

環境アセスメント問題都民連絡会

環境市民

環境とくしまネットワーク

環境文明21

気候ネットワーク高知

京都・水と緑をまもる連絡会

グリーンピース・ジャパン

公害・地球環境問題懇談会

サークルおてんとさん

自然エネルギー推進市民フォーラム(REPP)

持続可能な地域交通を考える会(SLTc)

市民がつくる政策調査会

新日本婦人の会

ストップ・フロン全国連絡会

そらとも

大気汚染測定運動東京実行委員会

地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)

地球の子ども新聞

電気をカエル計画

日本消費者連盟

日本山妙法寺

日本環境法律家連盟(JELF)

日本ソーラーエネルギー教育協会

NoNukes野にゆく会

東アジア環境情報発伝所

北海道グリーンファンド

南信州おひさま進歩

有機資源循環ネットワーク

わかやま環境ネットワーク

再生可能エネルギー推進市民フォーラム西日本

足元から地球温暖化を考える市民ネットたてばやし

計41団体


(参考)

電源別の二酸化炭素排出量

石炭は、他の火力発電と比べても、大量のCO2を排出します。2020年頃に稼働を始める新たな石炭火力発電所が建設されれば、長期間、大量のCO2排出量を排出しつづけることになります。

仮に、今後IGCCなど高効率の石炭火力発電技術が実用化されても、その排出量は、石油火力並みになるのにすぎず、「大量CO2排出装置」にほかなりません。

出典:電力中央研究所、電源別のライフサイクルCO2排出量、2010年

 

■ このプレスリリースに関するお問い合わせ

認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)

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