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【プレスリリース】「エネルギー永続地帯」2012年版試算結果(速報版)の公表について

千葉大学倉阪研究室 + 認定NPO法人環境エネルギー政策研究所

 

■ 概要

 国内の市区町村ごとに再生可能エネルギーの供給量を推計する「エネルギー永続地帯」研究の最新結果(2011年3月現在)によると、再生可能エネルギーの全体供給量は2010年度に4.9%増加し、とくに太陽光発電は、同期間に42%増加したことがわかった。再生可能エネルギーのうち、再生可能エネルギー電力は太陽光発電の伸びに伴い6.7%増加したものの、再生可能エネルギー熱供給は1.8%減少した。
 2010年度に地域的エネルギー需要(民生+農林水産業エネルギー需要)は3.8%増加したものの、地域的エネルギー需要に占める再生可能エネルギーの割合(再生可能エネルギー自給率)は、3.56%に微増した。域内の民生・農水用エネルギー需要を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市区町村(「100%エネルギー永続地帯」)は、地熱発電量の減少やエネルギー需要量の増加に伴って、2010年3月時点(再集計)の54市町村から、2011年3月時点では52市町村に減少している。


■ 再生可能エネルギーの全体供給量は2010年度に4.9%増加し、とくに太陽光発電は同期間に42%増加

 2010年3月から2011年3月にかけて太陽光発電は42%の伸びを示しましたが、国内の再生可能エネルギー供給の総量は4.9%の伸びにとどまりました。太陽光発電の伸びは、2009年11月に導入された家庭用太陽光発電の余剰電力固定価格買取制度の効果といえます。

 

■ 再生可能エネルギー電力は6.7%増加したものの、再生可能エネルギー熱供給は1.8%減少

 太陽光発電、風力発電、小水力発電、地熱発電、バイオマス発電からなる、再生可能エネルギー電力は、地熱発電量の低下(-9.9%)、小水力発電の伸び悩みにもかかわらず、全体として6.7%増加しました。一方、太陽熱利用、地熱利用(温泉熱、地中熱)、バイオマス熱利用からなる、再生可能エネルギー熱供給は、バイオマス熱利用の伸び(+5.8%)にもかかわらず、太陽熱利用、地熱利用の減少により、全体として1.8%減少しました。

 

■ 100%エネルギー永続地帯市区町村は、2カ所減少して52市町村に

 域内の民生・農水用エネルギー需要(地域的エネルギー需要)を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市区町村(100%エネルギー永続地帯)は、2010年3月(再集計)の54から、2011年3月は52に減少しました。これは、地熱発電量の減少や地域的エネルギー需要量の増加(日本全体で3.8%増)の影響と言えます。日本全体での、地域的エネルギー需要に占める再生可能エネルギーの割合(再生可能エネルギー自給率)は、エネルギー消費量の増大にかかわらず、3.52%から3.56%に微増しました。

 

■ 増加傾向にない再生可能エネルギー種(小水力、地熱、太陽熱)が再生可能エネルギー供給の65.5%を占める

 太陽光以外の再生可能エネルギーの中でも、小水力発電は、再生可能エネルギー電力の52%、再生可能エネルギー総供給の41%を占めています。太陽熱利用と地熱利用は、再生エネ供給の17%となっています。これらの増加傾向にない再生可能エネルギー種別が、再生可能エネルギー総供給の65.5%を占めていることがわかりました。

 
■ 8県で再生可能エネルギー供給が域内の民生+農水用エネルギー需要の10%を超えている 

2011年3月において、再生可能エネルギーによるエネルギー供給が域内の民生+農水用エネルギー需要の10%を超える都道府県は8県あります(大分県23.4%、富山県16.9%、秋田県16.1%、鹿児島県13.5%、青森県13.0%、長野県11.8%、岩手県10.8%、島根県10.7%)。  2011年3月において、面積あたりの再生可能エネルギー供給量が最も多い都道府県は、前年3位の神奈川県となりました。

 

 今後、過去のデータの再集計、都道府県別の特徴の分析、食糧自給率とのマッチングなどを行い、本年12月を目途に確報版を公開する予定です。
 本リリースの全文と速報版の試算結果は、以下の資料をご参照下さい。

file「エネルギー永続地帯」2012年版試算結果(速報版)の公表について.pdf

 

 

■ このプレスリリースに関するお問い合わせ

永続地帯研究会

ウェブサイト : http://sustainable-zone.org

メールアドレス : contact@sustainable-zone.org

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