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【イベント】日本の環境首都コンテスト関東地域交流会

 

 

「日本の環境首都コンテスト関東地域交流会」当日資料(PDF 7.6Mb 142ページ)

当日映像(財団法人ハイライフ研究所のウェブサイト)

 

 

第 1 部 環境首都をめざして‐関東圏自治体先進事例紹介

 

●環境首都コンテスト実施報告

「持続可能な地域社会を創る日本の環境首都コンテスト」
杦本 育生 氏(環境首都コンテスト全国ネットワーク 主幹事団体 環境市民 代表)

 

●環境首都コンテスト先進事例紹介

板橋区  『エコポリス板橋の取組み』
山崎 智通 氏(資源環境部 環境保全課長)

横須賀市  『市民協働推進を目指した豊富なセミナー』
有森 浩 氏(市民部市民生活課市民協働推進 担当課長)

館林市  『住民と共に進める地球温暖化対策』
中里 克己 氏(水道部環境課環境政策係 係長)

香取市  『軒先ホスピタリティ for You/「佐原まちぐるみ博物館」に取り組む女将さんたち』
絵鳩 万里 氏(経済部商工観光課 副主査)

大和市  『市民自治区の取り組みについて』
北島 滋穂 氏(企画部企画政策課市民自治推進担当 課長補佐)

 

●質疑応答・意見交換・交流

コーディネーター :  渡辺 敦 氏(かながわ環境教育研究会)

杦本氏:
横須賀市の市民協働のセミナー、研修は珍しい。研修を受けた職員への効果、成果はどうなっているか。またスタンプラリーの説明をしていただきたい。 

 

横須賀市:
まだ 2年目なのであまり見えてきてはいないが、地域協働プランなどに対して中心になるように育っている。スタンプラリーは、それぞれの市民活動を選び、体験するものである。毎年千人以上が参加している。サポートセンターだけでなく、現場にも行ってもらう。 

 

板橋区:
館林市の200万本植樹運動、記念樹配布だけで足りないと思うが、どんなところに植えているのか。また従来あるものも含めて200万本なのか。 

 

館林市:
各家庭で植えているものだけでなく、公共事業のものも含めている。また各家庭で植樹できない家庭は市民の森や公共施設に植える。また緑の銀行もカウントされる。垣根の補助金もカウントされる。もちろん枯れてしまっているものもある。 

 

上尾市:
大和市の市民自治区において、権限や財源委譲のレベルはどのようになっているのか。また運営に携わる人は誰が担っているのか。団体などに参加していない方の参加はどうしているのか。 

 

大和市:
権限や財源委譲のレベルは今検討中である。地域の施設の管理、地域の組織の運営、放置自転車把握などを行なう必要があり、それほどは、委譲できないのではないか。事務局の運営については、モデル地区では自治会や社会福祉協議会などをしていた人などが現在運営している。任期などは考えていないが、正式なスタートでは考えて行くつもりである。公募の市民も入れて行くつもりである。連携できていないところについては、市民自治区が立ち上がっていかないところについては行政側の仕事としてやっていく。 

 

上尾市:
立ち上がったものについての行政の関与はどうなっているのか。 

 

大和市:
物的、人的支援を行なっている。行政職員の派遣は今のところ控えているが、やはり事務的な人員として必要かと考える。 

 

上尾市:
行政レベルでは進んでいるが、実際住民側としてどうなのかが見えてこないので質問した。これからの計画作りについては、やはり市民も参加していかないといけないと考える。 

 

杦本氏:
高知市や内子町など、コミュニティの中に権限委譲が進んでいるところもある。コンペ的に競い合わせながら、権限委譲を行なっていく。 

 

東京都:
環境、まちづくり、地域の活性化の庁内連携体制や実際の取り組み、また「環境首都」作りに向けての取り組みについて伺いたい。 

 

板橋区:
環境行動会議での意見交換、また緑のカーテンが地域でも進んできたし問い合わせも多いので区では緑のカーテンキットなどの提案もしている。それが商店の活性につながればと考えている。 

 

香取市:
香取は田舎であり、コミュニティの繋がりがまだ強い。そのため、従来どおり、廃品回収などコミュニティが行っている。ただ、合併してまだ間もなく、商工会などはまだ合併しておらず、これから取り組んでいく部分が多い。 

 

荒川区:
館林市の全員参加での気温測定について具体的に伺いたい。 

 

館林市:
市民にいかに参加させるかとして、広報を通じて行う。また11小学校区での定点ポイントなどを活用している。今は午後 2 時のみの観測をおこなっている。アルミニウムの温度計と図り方のマニュアルを渡す。市長へのはがきを報告用紙を改定し、直接図ったものを書き郵送してもらうようになど工夫している。 

 

荒川区:
荒川区も40度を記録しており、ヒートアイランド化が進んでいる。是非考えていきたい。 

 

飯田氏:
某政令指定都市でパブリックコメントは3件しか来なかったこともあった。大和市の市民参加について、市民参加がアリバイ作りや下請けなどに使われずに、市民自治区が上位概念とぶつかり合えるように仕掛けや度量について考えていくことが必要である。 

 

渡辺氏:
防犯活動などから市民参加が意識も進んでいる。それだけで終わらないようにすることが必要である。 

 

 


 

第 2 部 環境首都・東京をめざして‐脱温暖化都市創生への挑戦

 

●基調講演

「環境首都コンテストが目指す持続可能な脱温暖化社会」
杦本 育生 氏(環境首都コンテスト全国ネットワーク 主幹事団体 環境市民 代表)

地球温暖化の影響の実例に続き、地球温暖化対策について、環境首都コンテストにおける先進事例 が紹介された 。

市民ファンド等を活用する市民共同発電の取組として、長野県飯田市や滋賀県野洲市などに注目できる 。大分県日田市は、自然エネルギーの見本市を標榜し、視察観光の目玉としている。お金を集めるしくみづくりが自然エネルギー普及の大きなテーマである。

近隣自治体と連携して循環バスを運行する岡谷市周辺地域、「笑エネ」をテーマに街ぐるみで電気の省エネに取り組む山形県高畠市、地元の技術素材で環境配慮公営住宅を作る滋賀県高島市など、電気、ガスを節約する「温暖化対策」でなく、環境のまちづくりが地球温暖化防止に有効である。

また、市民参加の深化に取り組む北海道ニセコ市や神奈川県大和市の動き、地域活性化の視点から、アイディアで葉っぱをお金に変えた上勝町や森林総合産業の創出を目指す新城市の取り組み、環境の視点からのチェックを政策形成過程に組み込んだ多治見市の工夫などにも注目している。

 

●記念ウェルカムスピーチ  石塚 輝雄 氏(板橋区長)

最近は衰退傾向にあるとはいえ、板橋区は、小学校の校歌に、工場の煙、サイレンという言葉が出てくるほど、都内でも有数の工業のさかんな地域 である 。工業は地域発展の基礎となる一方で、公害の原因となるといった地域特性をしっかり踏まえて、環境問題に取り組むことが重要と考えている。

区長となってから、環境改善を第一優先の課題として数々の新しいことに取り組んできた。環境首都コンテストでも上位にランキングされ、うれしいことである。

朝日新聞一面に採り上げられた「環境家計簿」、エコポリスセンターの開設、東京都内初のISO14000シリーズ取得などの他、現在、地下水湧水保全に関する条例を議会に提案している。

記念すべき第一回交流会を共催者として板橋区は大いに歓迎する。今後につながるよいモデルを作っていってほしい。

 

●基調報告

「自治体環境エネルギー政策最前線‐東京都における戦略的展開」
飯田 哲也 氏(特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所 所長)

東京都は地球温暖化対策計画書制度などの新しい仕組みを導入した。国に先駆けた取り組みは、他自治体に波及し、国の制度改正に結びついた。区の取り組みとしては、こうした制度を応用するのも一つの方法である。

再生可能エネルギー分野でも、都と国では違いが際立っている。都は2020年に20%という高い目標を掲げているが、国は1.5 ~ 2.0%の間で電気事業者と攻防を繰り広げている。また、新技術の実証実験等、供給サイドを重視する国の動きに対して、都は需要創出からの新しいアプローチを打ち出している。制度や情報公開などのツールを駆使して、制御された市場の中で自然エネルギーを普及するしくみを作るには、金融機関的な視点を重視して進めることが必要である。

また、国にない分野として、建物、気密・断熱、熱源をトータルに捉えた熱政策がある。北欧では、輻射暖房の熱源をバイオマスで賄うしくみづくりが「エネルギー福祉」の視点から進められている。

再生可能エネルギーの利用拡大には、補助金よりも区がグリーン電力を購入することが有効 である 。従来の自治体にない分野、国の不作為が著しい分野に新しい取り組みのチャンスがある。また、エネルギーは金銭を伴うので、事業に結びつくことも重要な点である。

 

●ゲストスピーチ  田中 大輔 氏(中野区長)

私は、CO2削減が本当にできるのか、今でも疑問である。日本が温室効果ガスを一定レベルで抑えながら、工業生産と文明を保てる社会を作れると世界に示し、それを中国やアメリカ、ブラジル、ロシア、インド等に輸出していける状況にならなければ世界は動かない。

中野区では全国の十数自治体と交流をしている。例えば、中野区で検討している区民ファンドも、連携しているなかで共通のファンドをつくり、中野のファンドが友好都市に風車を作る。その風車からのキャピタルゲインはエコポイントで区民に還元するなど。また、友好都市で作った農作物を中野に送り、残渣は友好都市に堆肥として使ってもらうなど。

友好都市と中野区とが空間を越えたコミュニティを形成しながら新しい生き方、新しい価値のある暮らしを発信できるようにする。これがひとつの鍵となり『知』産『知』消のコミュニティを作っていくような取り組みができないか検討している。

中野区は産業がほとんどなく、民生部門から排出されるCO2が全体の47%を占める。人の暮らし方や生き方が地球環境に直に関わるまちであるので、これからも区民と一緒に地球環境問題に取り組んでいきたい。

 

●パネルディスカッション

コーディネーター :  飯田 哲也 氏(環境エネルギー政策研究所 所長)

パネリスト :

三嶋 重信 氏(荒川区 助役)

森田 泰夫 氏(板橋区 資源環境部長)

 

本橋 一夫 氏(中野区 区民生活部長)

小林 直幸 氏 ( 練馬区 環境清掃部環境政策課 環境計画係長 )

杦本 育生 氏(環境市民 代表理事)

荒川区 三嶋重信氏 (助役)

荒川区は、 典型的な下町であり、面積が小さく、高齢化率も高い。 CO2排出量は増加し、気温も高くなってきている。今年は荒川区の環境元年として、6月に環境都市あらかわづくり懇談会を、8月に観光交通政策有識者会議と地球をまもる区民会議とを設置した。エコセンターの開設に向けた検討も始めた。

対面でのコミュニケーションで実感、納得しながらの取り組みを進めていくことが区の取り組みの基本 である 。

区道の遮熱舗装、区施設屋上緑化、家庭用燃料の導入、緑のカーテンづくり、学校エコ改修などにも取り組んでいる。トランジットモール、都電延伸、コミュニティバス、隅田川沿いのサイクリングロードの整備などを組み合わせて、交通政策と環境政策の統合にチャレンジしたい。

 

板橋区 森田泰夫 (資源環境部長)

2005年に環境基本計画を改定し、 2006 年に区地球温暖化防止地域推進計画を策定した。省エネ診断・研修の実施、板橋エコアクションの普及、高効率給湯の普及、大規模施設への省エネ技術導入、さつまいもを活用した屋上緑化などに取り組んでいる。

 

中野区 本橋一夫 (区民生活部長)

人口30万人で人口密度が高く、ほとんどを住宅地が占めているため、住居系の対策が特に重要 となってくる 。省エネ製品の普及に加え、友好都市で発電し、そのための資金を集めるというしくみで再生可能エネルギーの導入促進にも取り組みたい。一人ひとりが関わり、世の中のしくみが変わるという実践事例を作って い きたい。

 

練馬区 小林直幸 (環境清掃部環境政策課)

人口 69 万人で住宅地が多く、緑被率は20.9%と高い。CO2排出状況は、民生・家庭部門で4割を占めている。1990年比マイナス6%を達成するには、現状から 15.5 %の削減が必要。以前は 、 事務分掌に地球温暖化対策を入れようとすると 違和感があるように思われたが 、現在では違和感なく受け入れられている。

100%の配慮行動を一人が取るより、1%の行動を100人で、というのが目指す方向である 。区民が環境行動の方針をつくるときバックアップすることが環境基本条例に定めているのはその具体化の一例 である 。

 

【意見交換】

飯田氏 : 区が地球温暖化対策に取り組みことの意味、どんなことが出来るのか、東京都の政策や区同士の連携について意見交換したい。 

 

杉本氏 : 温暖化対策には 、 無力感を感じることが多いが、電気、ガスの節約だけを見るのではなく、ごみを減らす、旬のものを選んで食べることなどに視野を広げると、新たな可能性が見えてくる。また、自治体が専門家を派遣して、対策を提案する取り組みが中小企業に対して有望である 。東欧から欧州全体へ広がっている動きとしては、学校で省エネに取り組み、浮いたお金の半分は子どもたちが使うことができる 50-50 という取り組みが注目される。 

 

中野区 : 公害問題の時、国が動かないなら自治体がまず動き、それをばねに国が動くといった連鎖があった。温暖化対策でも同じことが考えられる。 

 

荒川区 : 荒川区では 荒川ジュニア区報を発行している。 学校のエコ改修など、子どもに焦点を当てた取り組みは自治体の得意分野 といえる 。街中の環境は正直言ってよくないが、その中でよい環境づくりにチャレンジすることに意義がある。 荒川区でできれば、全国どこででもできるという意気込みで取り組んでいる。都との連携については、零細事業者の取り組み促進に加え、都電を環境と観光に活用することなどを考えたい。 

 

板橋区 : 良い事例に学び、競い合いながら先進的な取り組みを進めたい。モトがとれる、楽しいがキーとなると思う。道路特定財源の環境税化を国家の戦略として進めることが有効である。当区でも積極的に取り組んでいる緑のカーテンづくりもサミットが開かれるなど、広がりを見せている。 

 

練馬区 : 2020年にCO2半減するには、大規模かつ実験的な取り組みが必要であり、そのための合意形成に取り組みたい。 

 

杉本氏 : 自治体だけで、温暖化対策を担うことはできないが、国を変えていく力はある。地域に関心を持って、おもしろい企画をつくり、いろいろな地域と交流することで力を高めていくことができるのではないか。 

 

中野区 : 区民ファンドの取り組みを進め ていきたい 。 

 

荒川区 : 来年度から環境交通関係のモデル事業に取り組みたい。太陽光パネルの普及促進を していきたいが、その前に総合的に環境によいのかを専門的機関で示して欲しい。 

 

板橋区 : まちの中に森をつくりたい と考えている 。 

 

練馬区 : 石油ショックのときは、夜中のテレビ放映をやめた。地球温暖化対策ではそうした声は聞こえてこないのはなぜなのか。 温暖化に取り組むには、そういった取り組みも必要ではないか。 

 

飯田氏: これまで自治体が環境政策を切り開いてきた。これからの自治体像は、させられる対策でなく新たなことにチャレンジする自治体 となることである 。世の中が激しく変わる中、最先端のことに取り組むことがまちの魅力を高め、人があつまる場所を作る。合意形成が一番難しいところである。

以上

 

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