2012年10月16日
【プレスリリース】「エネルギー永続地帯」2012年版試算結果(速報版)の公表について
■ 概要
2010年度に地域的エネルギー需要(民生+農林水産業エネルギー需要)は3.8%増加したものの、地域的エネルギー需要に占める再生可能エネルギーの割合(再生可能エネルギー自給率)は、3.56%に微増した。域内の民生・農水用エネルギー需要を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市区町村(「100%エネルギー永続地帯」)は、地熱発電量の減少やエネルギー需要量の増加に伴って、2010年3月時点(再集計)の54市町村から、2011年3月時点では52市町村に減少している。
■ 再生可能エネルギーの全体供給量は2010年度に4.9%増加し、とくに太陽光発電は同期間に42%増加
2010年3月から2011年3月にかけて太陽光発電は42%の伸びを示しましたが、国内の再生可能エネルギー供給の総量は4.9%の伸びにとどまりました。太陽光発電の伸びは、2009年11月に導入された家庭用太陽光発電の余剰電力固定価格買取制度の効果といえます。
■ 再生可能エネルギー電力は6.7%増加したものの、再生可能エネルギー熱供給は1.8%減少
太陽光発電、風力発電、小水力発電、地熱発電、バイオマス発電からなる、再生可能エネルギー電力は、地熱発電量の低下(-9.9%)、小水力発電の伸び悩みにもかかわらず、全体として6.7%増加しました。一方、太陽熱利用、地熱利用(温泉熱、地中熱)、バイオマス熱利用からなる、再生可能エネルギー熱供給は、バイオマス熱利用の伸び(+5.8%)にもかかわらず、太陽熱利用、地熱利用の減少により、全体として1.8%減少しました。
■ 100%エネルギー永続地帯市区町村は、2カ所減少して52市町村に
域内の民生・農水用エネルギー需要(地域的エネルギー需要)を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市区町村(100%エネルギー永続地帯)は、2010年3月(再集計)の54から、2011年3月は52に減少しました。これは、地熱発電量の減少や地域的エネルギー需要量の増加(日本全体で3.8%増)の影響と言えます。日本全体での、地域的エネルギー需要に占める再生可能エネルギーの割合(再生可能エネルギー自給率)は、エネルギー消費量の増大にかかわらず、3.52%から3.56%に微増しました。
■ 増加傾向にない再生可能エネルギー種(小水力、地熱、太陽熱)が再生可能エネルギー供給の65.5%を占める
太陽光以外の再生可能エネルギーの中でも、小水力発電は、再生可能エネルギー電力の52%、再生可能エネルギー総供給の41%を占めています。太陽熱利用と地熱利用は、再生エネ供給の17%となっています。これらの増加傾向にない再生可能エネルギー種別が、再生可能エネルギー総供給の65.5%を占めていることがわかりました。
■ 8県で再生可能エネルギー供給が域内の民生+農水用エネルギー需要の10%を超えている
2011年3月において、再生可能エネルギーによるエネルギー供給が域内の民生+農水用エネルギー需要の10%を超える都道府県は8県あります(大分県23.4%、富山県16.9%、秋田県16.1%、鹿児島県13.5%、青森県13.0%、長野県11.8%、岩手県10.8%、島根県10.7%)。 2011年3月において、面積あたりの再生可能エネルギー供給量が最も多い都道府県は、前年3位の神奈川県となりました。
今後、過去のデータの再集計、都道府県別の特徴の分析、食糧自給率とのマッチングなどを行い、本年12月を目途に確報版を公開する予定です。
本リリースの全文と速報版の試算結果は、以下の資料をご参照下さい。
■ このプレスリリースに関するお問い合わせ
永続地帯研究会
ウェブサイト : http://sustainable-zone.org
メールアドレス : contact@sustainable-zone.org
2012年10月15日
【映像】第55回 ISEP Ustチャンネル
出演:飯田哲也(ISEP所長)
2012年10月12日
【お知らせ】つながり・ぬくもりプロジェクトシンポジウム開催
復興からのエネルギーシフトをめざして
~自然エネルギーによる「被災地支援つながり・ぬくもりプロジェクト」
シンポジウム
東日本大震災「つながり・ぬくもりプロジェクト」は、震災直後から太陽光・太陽熱・バイオマスを柱に、被災地への自然エネルギー支援活動を続けてきました。東京電力福島第一原発事故を含め、甚大な被害をもたらした東日本大震災は、非常時にも素早く対応できる、安心安全な自然エネルギー社会への転換を、いかに迅速に実現していくかという教訓を残しました。
本シンポジウムでは、この教訓を眠らせることなく、自然エネルギーを活用したこれからの東北における地域づくりのビジョンを、参加者の皆さんと共有したいと思います。緊急支援としてのプロジェクトは、約1年半に渡る活動の中で多様な関係者が集いました。新しい人材、技術が生まれ、そして自然エネルギー社会という共通の基盤を目指す、人の輪が被災地に根付きました。
東北には、豊かな自然エネルギー資源が存在します。このプロジェクトを通じてできたネットワークを生かし、今後は東北のメンバーを中心として、具体的な現場で新たな地域づくりや仕事おこし、防災対策、環境教育などを行っていく、新生「つながり・ぬくもりプロジェクト」が産声を上げようとしています。
皆さんもご一緒に、これからの東北を考えてみませんか?
■シンポジウム開催概要
【日 時】2012年11月17日(土) 13:00~17:00(12:30開場)
【場 所】せんだいメディアテーク 1階オープンスクエア
(宮城県仙台市青葉区春日町2-1/JR仙台駅よりバスで10分)
http://www.smt.city.sendai.jp/info/access/#04
【参 加】 無料 (要事前申込み)
下記ページの申し込みフォームより事前申し込みをお願いします
https://ssl.form-mailer.jp/fms/85ea015f214168
【協 力】エネシフみやぎ/サスティナライフ・森の家/水・環境ネット東北
【主 催】東日本大震災つながり・ぬくもりプロジェクト
【プログラム(予定)】
・挨拶
竹村英明 つながり・ぬくもりプロジェクト 事務局長
-第1部- つながり・ぬくもりプロジェクト活動報告
三井元子 つながり・ぬくもりプロジェクト 幹事
・自然エネルギー利用者の声
新沼暁之 つながり・ぬくもりプロジェクト太陽光チーム
多田欣一氏 岩手県住田町 町長
三條正実氏 石巻市尾崎地区 三条造船所
菅原博信氏 気仙沼市 市議会議員
菅野剛氏 陸前高田市今泉地区 区長
・支援ご協力者からのご挨拶
ソーラーフロンティア株式会社
パタゴニア日本支社
末日聖徒イエス・キリスト教会
三井物産株式会社
<休憩>
-第2部- パネルディスカッション
コーディネーター;
高橋万里子 NPO法人水・環境ネット東北 専務理事
武内賢二 株式会社ソーラーワールド 代表取締役
パネリスト(予定);
伊藤 幸男氏 岩手・木質バイオマス研究会 代表
岩佐 隆氏 山元いちご農園 代表取締役
大村 道明氏 一般社団法人東松島みらいとし機構(HOPE)専務理事
唐澤 晋平氏 NPO法人日本の森バイオマスネットワーク 事務局長
島村 守彦氏 NPO法人インディアンヴィレッジキャンプ 副理事長
吉成 信夫氏 NPO法人岩手子ども研究所(森と風のがっこう)理事長
会場からの質疑応答
・閉会挨拶
つながり・ぬくもりプロジェクトのウェブサイトはこちら
※シンポジウム終了後、交流会(会費2000円予定)を予定しております。参加申し込みフォームより参加の有無をお知らせください
※このシンポジウムは三井物産環境基金の助成を受けて開催いたします
【主催・お問合せ】
東日本大震災 つながり・ぬくもりプロジェクト事務局
(認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所(ISEP)内)
担当;氏家、中條
東京都中野区中央4-54-11
TEL: 03-6382-6061 FAX: 03-6382-6062
E-mail: re-shien@isep.or.jp
URL: http://tsunagari-nukumori.jp/
「東日本大震災つながり・ぬくもりプロジェクト」
自然エネルギーを基盤とする持続可能な社会づくりをめざす団体や企業等が立ち上げたプロジェクト。
2011年4月より「太陽光」「太陽熱」「バイオマス」の3種類の支援を柱に、被災地とのつながりや草の根ネットワークを活かし、電気、お湯、お風呂等をお届けしてきた。幹事団体は、環境エネルギー政策研究所、ぐるっ都地球温暖化対策地域協議会、自然エネルギー事業協同組合レクスタ、WWFジャパン、バイオマス産業社会ネットワークの5団体で、協力団体として21の団体が参加している。
2012年10月11日
【プレスリリース】エアコン冷媒、HFC32への転換は本質的解決ではない
【声明・共同プレスリリース】
エアコン冷媒、HFC32への転換は本質的解決ではない
~自然冷媒への転換こそ真の持続可能な社会への道筋~
2012年10月11日
環境エネルギー政策研究所
気候ネットワーク
ストップ・フロン全国連絡会
現在、地球温暖化を加速するフロン類の対策については、産業構造審議会と中央環境審議会の合同会合が開かれ、今後の冷媒転換、漏洩対策、回収促進についての議論がなされているところである。しかし2009年からはじまった議論は長期化し、フロン類対策に関する用途規制や経済的誘導策などの政策議論が出ては消えるという状況が繰り返されている。こうした中、具体的な対策となる政策実現もないままに、一部メーカーなど民間の動きが先行しているのが現状である。民間の動きの中には、CO2冷媒ショーケースなど自然冷媒への転換など歓迎すべき動きもある一方、新たなHFCへの転換など憂慮すべき動きが出てきている。
とりわけ、空調分野におけるHFC32への転換は、フロンメーカーであり空調機メーカーであるダイキン工業が今秋からHFC32冷媒のエアコンを発売すると発表し、すでに海外でも途上国のHCFC22の消費規制にあわせて省エネ型エアコンとして導入をすすめているとのことである。現在、エアコンの冷媒には、主にHFC410Aと呼ばれる混合冷媒が使われている。2000年前後から、かつて空調冷媒の主流であったHCFC22から、オゾン層保護対策による規制強化によって転換が進められてきた。もともとHFC410Aは、HFC32を50%、HFC125を50%混合して「不燃性」としてつくられた冷媒であり、これまでHFC32は単一冷媒として使われてこなかった。今、HFC32を単一冷媒として使うのは、単に混合をやめるとの該社独自の判断に基づくものであり、何ら新しい技術とは言えない。
HFC32の問題は大きく二つある。HFC32は、「極めて可燃性・引火性の高いガス/加圧ガス:熱すると爆発するおそれ/常温では極めて安定であるが、裸火等の高温熱源に接触すると熱分解して、フッ化水素(HF)およびフッ化カルボニル(COF2)等の毒性ガスを発生する[i]」といった性質を持ち、分解した際に猛毒のフッ化水素を発生するなど人体にとって非常に危険性が高い。
第二に、HFC32の地球温暖化係数(GWP)は、IPCC第四次レポートの積分時間100年でみても675と高いが、20年値で見れば2330もあり、非常に強力な温室効果ガスである。現在法律で定められている100年値で見れば、HFC410Aに比べ3分の1程度の温室効果と言えるが、20年というタイムスケールで見た場合には決して小さい温室効果とは言えない。短期的に見た場合の温室効果ガスの大幅削減も喫緊の課題であることから、HFC32のような高い温暖化係数を持つガスへの転換は、本来あるべき対策の先送りにしかすぎない。空調機の急速な普及が進む新興国において、このように強力な温室効果ガスが蓄積されることは、世界全体の温暖化対策として大きなマイナスとなる。
フロン類(Fガス)は、その化学的特性として、安定性が高ければ人体への影響は少ない反面、オゾン層破壊や地球温暖化の原因となる。一方、安定性を低くすれば、地球温暖化への影響は小さくなる反面、フッ化水素など猛毒の物質に分解され、人体や環境中への影響は大きい。今後、持続可能な社会を目指す上で、フロン類(Fガス)からの脱却を図り、新たな技術開発を促すためにも自然冷媒への転換を政策的に誘導していくことこそ、今求められている。
以上
[i]日本フルオロカーボン協会「化学物質等安全データシート(MSDS)」2011年8月11日改訂版
■このプレスリリースに関するお問い合わせ
気候ネットワーク東京事務所
TEL:03-3263-9210 FAX:03-3263-9463
2012年10月1日
福島での再生可能エネルギーフォーラムの開催(9月26日)について
『地域のエネルギーとお金を地域と地球に活かす』フォーラム
~福島の復興に資する再生可能エネルギー利用にむけて~
以下のとおり開催いたしました。各報告者およびパネリストの講演資料(一部)などを掲載しています。フォーラムへのご参加とご協力をありがとうございました。
【日時】2012年9月26日(水曜日)13:00から16:30 (12:30開場)
【会場】福島大学 L講義棟 L4教室(〒960-1296福島県福島市金谷川1番地)
アクセス方法(福島大学) 交通機関:JR東北本線「金谷川駅」下車 徒歩5分
【共催】
法政大学サステイナビリティ研究教育機構
福島大学うつくしまふくしま未来支援センター
認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所
【後援】福島県
【協力】
JST地域エネルギー・ファイナンス研究チーム※
持続可能な風力利用研究チーム※※
※ 独立行政法人 科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発事業「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」研究開発領域採択プロジェクト「地域連携による地域エネルギーと地域ファイナンスの統合的活用政策及びその事業化研究」
※※ 三井物産環境基金研究助成採択プロジェクト「持続可能な風力利用のための統合的ガイドラインと支援ツール」
本フォーラムのチラシはこちら:FukushimaForum20120926。
【目的】 東日本大震災からの復興に向けた様々な取り組みが行われる中、再生可能エネルギーへの期待が高まっており、福島県でも、福島県再生可能エネルギー推進ビジョン等の中で再生可能エネルギーの飛躍的推進による新たな社会づくりが謳われています。現在、県内市町村単位での取り組みなど、再生可能エネルギーの普及に向けた動きが大きなうねりを見せていますが、こうした取り組みに地域が主体となって関わることにより、地域の資源を、地域の人々の手で、地域のために活かす事ができます。
本フォーラムでは、福島の復興に資する再生可能エネルギー利用の推進に向けた制度・政策のあり方や、地域に根ざした再生可能エネルギー事業のモデルの確立に向け、地域主体の再生可能エネルギー事業の立ち上げ方や地域主体のお金の活用手法等について討論を行い、その具体的方向性を福島から探ります。
■プログラム
- 12:30開場
- 13:00開会
-第1部— 再生可能エネルギーが地域に資するための制度・政策とは何か
- 報告「福島県での再生可能エネルギーの取り組み」(福島県企画調整部エネルギー課 佐々木秀三 課長) [参考資料「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン(改訂版)」]
- 報告「うつくしまふくしま未来支援センターの取り組み」(福島大学うつくしまふくしま未来支援センター・共生システム理工学類 佐藤理夫 教授) [発表資料(PDF)]
- 報告「地域主体の再生可能エネルギーのための制度・政策とは」(法政大学サステイナビリティ研究教育機構 機構長 舩橋晴俊 教授) [発表資料(PDF)]
- パネル討論:再生可能エネルギーが地域に資するための制度・政策とは
コーディネーター: 福島大学うつくしまふくしま未来支援センター 大平佳男 [発表資料(PDF)]
パネリスト:
佐々木秀三(福島県企画調整部エネルギー課 課長)
佐藤理夫(福島大学うつくしまふくしま未来支援センター 教授)
小椋真弓(NPO法人 超学際的研究機構)
丸山康司(名古屋大学大学院環境学研究科 准教授) [発表資料(PDF)]
舩橋晴俊(法政大学サステイナビリティ研究教育機構 機構長)
〈休憩〉
—第2部— 地域に根ざした再生可能エネルギー事業とは
- パネル討論:事業化を行うために必要なプロセス、金融のあり方等について
コーディネーター: 飯田哲也(環境エネルギー政策研究所 所長)
パネリスト:
戸浪誠(福島県南相馬市 復興企画部 新エネルギー課 係長) [発表資料(PDF)]
鈴木俊雄(白河地域再生可能エネルギー推進協議会 会長) [発表資料(PDF)]
二瓶厚(会津みしま自然エネルギー研究会 副会長) [発表資料(PDF)]
渡辺正彦(元東邦銀行常務取締役)
- 16:30 閉会
【お問合せ先】
認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所 TEL:03-6382-6061 担当:氏家、松原
URL: http://www.isep.or.jp/
2012年9月25日
【プレスリリース】eシフト声明|「革新的エネルギー・環境戦略」とその扱いについて
【声明】「革新的エネルギー・環境戦略」とその扱いについて
「原発ゼロ」の棚上げは許されない!
使用済み核燃料再処理を放棄し、「原発ゼロ」の早期、確実な実現を!
2012年9月24日
eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)
原発ゼロ・パブコメの会
PDFはこちら
パブリックコメントや各地の意見聴取会、討論型世論調査などの「国民的議論」の結果を受けて、関係閣僚による「エネルギー・環境会議」は、9月14日に「革新的エネルギー・環境戦略」を決定しました。
その内容は、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」というものです。政府がはじめて、不十分ながらも「原発ゼロ」を掲げたという点は、これまでの原発推進路線からすれば大きな前進です。原発ゼロを望む多数の国民の声が、「国民的議論」を通じて可視化され、政府を動かしたためと言えます。それでも、パブリックコメントで約8割、および福島の意見聴取会でほぼ全員が「即時原発ゼロ」を支持したことを考慮すれば、大きく後退したものです。
ところが政府は、この「2030年代に原発稼働ゼロを可能とする」との文言の入った「革新的エネルギー・環境戦略」の全文は閣議決定せず、当戦略を「踏まえて」「国民の理解を得つつ、柔軟性をもって不断の検証と見直しを行いながら遂行する」との方針のみを決定しました。早くも「原発ゼロの」の「見直し」を示唆しています。一部の財界等の圧力や原発推進勢力の抵抗を受けたものと思われますが、それは、「国民的議論」において示された「原発ゼロ」や「即時原発ゼロ」を選択した、多数の国民の意向を無視するものであり、到底許されません。
私たちは、より確実かつ早期の「原発ゼロ」実現を求めます。政府は「原発ゼロ」の方針を明確にして、「原発稼働ゼロを可能とする」ための具体的な道筋を、新しい「エネルギー基本計画」や「グリーン政策大綱」などで具体的に示していくべきです。また、この脱原発の方針を、法改正や新法制定によって確定させるべきです。
「革新的エネルギー・環境戦略」については、下記に述べるような様々な問題点と不十分さがあります。これらを正しつつ、まさに「あらゆる政策資源を投入」して確実に遂行していくことこそが重要であり、「原発ゼロ」からの後退は許されません。
「革新的エネルギー・環境戦略」の問題点
【確定的かつなるべく早期の「原発ゼロ」実現に向けて】
「革新的エネルギー・環境戦略」では「原発に依存しない社会の一日も早い実現」を掲げながら、「2030 年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」とあり、あくまでも努力目標にすぎません。
原発ゼロは、確定的にかつなるべく早期に実現するべきものです。日本列島が地震の大活動期に入ったといわれる今日、「原発ゼロ」を曖昧な形で先送りすることは非常に危険な判断です。「安全性が確認された原発は、これを重要電源として活用する」「原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ、再稼働とする」としていますが、今回の原子力規制委員会人事をめぐる議論で明らかになったように、「安全性を確認」するための原子力規制委員会の委員の大半が、これまで原子力を推進してきた原子力ムラから選ばれています。私たちは原子力規制委員会設置法の立法主旨や国会論戦で政府側が答弁した内容をきちんと守って委員の選任がやり直されるべきであると思います。それなくして原子力規制委員会に判断を委ねることは、再稼働を後押しするものになります。
また「原発の新設・増設は行わない」としていますが、枝野経産相は、「経産省としては工事許可を出した原発について変更することは考えていない」と、建設中の原発の継続を容認しています。もし「40年運転制限制を厳格に適用する」と、その原発は2050年を超えて運転されることになり、2030年代までに原発ゼロを可能にするという方針とも矛盾します。枝野発言は、この不十分である「革新的エネルギー・環境戦略」からもさらに政策を後退させるもので、強く批判されるべきです。
【核燃料サイクル政策、再処理事業は放棄するべき】
「革新的エネルギー・環境戦略」では、核燃料サイクル政策について、「引き続き従来の方針に従い再処理事業に取り組」むと、「再処理事業」を継続することを述べていますが、「原発ゼロ」を選択するのであれば、もはや意味のない再処理は直ちに終わらせなければなりません。再処理事業は、原発の燃料であるプルトニウムを取出す作業で、原発の長期の継続という方針がなければ無意味な作業となります。再処理によって高レベル廃棄物そのものの体積は小さくなるかも知れませんが、その入れ物や、その貯蔵場所、さらに再処理過程で新たにつくり出される低レベル廃棄物の体積を合算すると、廃棄物のために必要な体積は巨大に膨れ上がっています。
放射線量も減ることはなく、高レベル廃棄物と貯蔵されるプルトニウムを合算すれば同じす。原発を運転すればするほど、この核廃棄物と放射能を増やし続けていることに、しっかりと目を向けなければなりません。既に大量に貯蔵するプルトニウムをさらに増やしていくことは、核兵器拡散のリスクも高めます。
【省エネ、再生可能エネ、温暖化対策の一層の強化・拡大を】
省エネについても、発電量は2030年までにわずか10%削減、最終エネルギー消費では19%削減という小幅な削減目標にとどまっています。省エネは、エネルギー政策としても温暖化対策としてももっとも重要であり、少なくとも2030年には発電量で15%以上、最終エネルギー消費では25%以上の省エネ目標を掲げることが必要です。
再生可能エネルギーについては、2030年に発電電力量で3,000億kWhを目指すとありますが、これは事実上、発電量の30%を再生可能エネルギーにすることに相当します。実際には50%、60%にすることも可能であるとのシミュレーションもあり、より意欲的な再生可能エネルギーの導入目標を掲げるべきです。
またエネルギー消費は電力に限ったものではなく、熱利用や燃料利用も含めた目標を提示するべきです。
地球温暖化対策については、温室効果ガス排出量を、1990年比で2020年までに5~9%の削減としていますが、これは従来の日本の削減目標である「2020年25%削減」を大きく下回っています。5%であれば、京都議定書の2008〜2012年の間に6%削減という目標からも後退しかねない内容です。私たちの試算では、省エネと再生可能エネルギー導入加速により、脱原発と温暖化対策は両立することが示されています。これはすでに欧州各国が実践していることでもあります。日本の景気回復や雇用の創出のためにも高い目標を掲げ、省エネルギーや再生可能エネルギーの内需を活発につくり出すという政策を積極的に推進すべきです。
【海外への原発輸出や核廃棄物の押し付けをやめ、省エネ、再生可能エネの開発・普及支援を!】
「革新的エネルギー・環境戦略」では「国際社会との連携」について、「諸外国が我の国の原子力技術を活用したいと希望する場合には相手国の事情や意向を踏まえつつ、世界最高水準の安全性を有する技術を提供していく」として、これだけの事故を起こしながらも「原発輸出」等を正当化しかねない表現になっています。事実、政府は、福島原発事故後も原発輸出を推進しようとしていますが、これだけの悲惨な原発事故を起こしながら、海外に原発を輸出することなど許されません。また核廃棄物をモンゴルなど海外に輸出するということも計画されましたが、核廃棄物を海外に押し付けることも許されません。日本は、省エネルギーや再生可能エネルギーの開発・普及、そして廃炉や除染の技術開発で、国際社会と連携・協力し、途上国や新興国に対しては、原発輸出ではなく、省エネルギーや再生可能エネルギーで協力すべきです。
eシフトでは、エネルギー基本計画はどうあるべきかを検討する委員会を立ち上げ、「市民版エネルギー基本計画」を作成しました。ここに示すように、脱原発と温暖化対策を両立し、将来に禍根を残さない、安全で安心なエネルギー社会の実現をめざす計画を策定することを私たちは強く訴えます。
*脱原発・エネルギーシフトの基本計画:市民版の「エネルギー基本計画」案
http://e-shift.org/wp/wp-content/uploads/2012/08/120829_eshift_TheAlternativePlan.pdf
■このプレスリリースに関するお問い合わせ
eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)
Tel: 03-6907-7217 Fax: 03-6907-7219 (国際環境NGO FoE Japan内) Email: info@e-shift.org
※e シフトとは 2011 年 3 月 11 日の福島第一原発事故を契機に、脱原発と自然エネルギーを中心とした持続可能なエネルギー政策 を実現させることを決意した、団体・個人の集まりです。2012 年 5 月現在約 60 の団体、200 名以上が参加しています。
2012年9月24日
【お知らせ】エイモリー・ロビンス博士緊急来日セミナーに所長の飯田が登壇
エイモリー・ロビンス博士緊急来日記念セミナー
「誰がエネルギー社会を変えるのか
〜エネルギーの不安から世界を解放するビジネスの力」
■ 目的
エネルギーの使用を“止めない”で、より豊かで、より公平で、安全な経済成長を推進することは可能なのだろうか――多くのビジネスリーダーたちが抱え続けたこの問いに、エネルギーの世界的権威であるエイモリー・ロビンス博士が明確に答えます。このセミナーでは、企業が持つ技術やアイデアをどのように活かしながら、エネルギーの安定供給と経済成長を両立させていく方法について、政策・ビジネスの両面から議論していきたいと考えています。
■ 開催概要
日 時: 2012年10月10日(水曜日)13:00から17:00 (12:00開場)
会 場: 青山ダイヤモンドホール
主 催: 株式会社ダイヤモンド社
参加費: 4,000円(通常価格は5,000円)
参加申込はこちら
※割引コードは「SP」と入力してください
定員数: 500名(先着順)
登壇者: エイモリー・ロビンス博士/猪瀬直樹氏(東京都副知事)/飯田哲也(環境エネルギー政策研究所所長)/池辺裕昭氏(株式会社エネット代表取締役社長)/木内孝(イースクエア代表)ほか1名
【お問合せ先】
認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所 TEL:03-6382-6061
担当:渡邊
URL: http://www.isep.or.jp/
【映像】第54回 ISEP Ust チャンネル
出演:飯田哲也(ISEP所長)
2012年9月18日
【資料】総合資源エネルギー調査会基本問題委員会への提出資料
2012年9月18日(火)19:00より開催される総合資源エネルギー調査会 基本問題委員会に、環境エネルギー政策研究所(ISEP) 所長 飯田哲也が資料を提出しました。つきましては、下記のリンクから資料をご参照下さい。
なお、委員会の模様はニコニコ生放送により全編生中継されます。 また、ISEPホームページに、追って録画を掲載する予定です。
【プレスリリース】革新的エネルギー・環境戦略、とくに「原発ゼロ」に関する意見
枝野幸男 経済産業大臣 殿
総合資源エネルギー調査会 基本問題委員会 御中
1. 革新的エネルギー・環境戦略、とくに「原発ゼロ」に関して
国民の声を反映して、曖昧なかたちとはいえ「原発ゼロ」という表現が入ったことは大きな政治決断だと評価いたします。しかしながら、その論理には、いくつか致命的な是正すべきポイントがあるため、ここに提案申し上げます。
(1)是正すべきポイント その1
『革新的エネルギー・環境戦略』に明記された以下の「原発に依存しない社会の実現に向けた3つの原則」に、もう一つの大切な原則を追加すべきである。
- 原則①:40 年運転制限制を厳格に適用する
- 原則②:原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ、再稼働とする
- 原則③:原発の新設・増設は行わない、
に加えて、以下のもう一つの大切な原則を追加すべきである。
- 原則④:国民的な合意に基づいて、使用済み核燃料の総量抑制を定める
(2)是正すべきポイント その2
『革新的エネルギー・環境戦略』には現実的なロードマップがない。とくに、現在、ほぼ全ての原発が停止している現実から出発して、国民的な合意のもとで「原発ゼロ」にどのように向かってゆくのか、政治的・財務的・経済的に現実的な道筋と政治/政策的な措置を検討すべきである(参考図およびISEPプレスリリース参照)
2. 枝野大臣「建設途中の原発」への建設継続容認発言への疑問
報道によれば、枝野経産大臣は「建設中の3原発のうち、Jパワー(電源開発)大間原発と中国電力島根原発3号機の建設継続は容認」とご発言されたと伝えられる(毎日新聞9月15日)。この発言の真偽を確認されたい。仮に真であれば、以下の疑問がある。
(1)経産大臣の一存で容認してよいのか?
- 再稼働の条件としている「ストレステスト」への対応は完了しているのか?
- 原子力規制委員会がこれから安全基準の見直しする以上、設置許可はいったん白紙とすることが、政治的に当然の判断ではないか。
(2)新しい原子力規制委員会がこれから発足というタイミングの悪さ
- 今後、安全性の判断をする新しい原子力規制委員会および規制庁が発足する直前に、経済産業大臣が「建設続行容認」(設置許可有効)を発言できるのか?形式的な法妥当性ではなく、道議的・政治的な無責任を問いたい。
(3)新戦略の原則②と原則③に反し、「2030年代原発稼働ゼロ」を困難とする
- 「原発ゼロ」決定の直後に、明らかに原則に反する「容認」発言は、国民の意思をないがしろにする政治的に不誠実な対応ではないか。
(4)J-POWER大間原発は「全炉心MOX」であり、核燃料サイクル見直しを困難とする
- 核燃料サイクルは政策合理性と実現性をまったく欠いたもので、今後の原子力政策見直しに大きな禍根を残す








