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【レポート】「最悪シナリオ」はどこまで最悪か

概要

2011年3月11日に発生した東京電力福島第1原子力発電所の事故が、この先に辿りうる最悪シナリオを検討したところ、再臨界と水蒸気爆発の可能性は否定できないが、 核爆発やチェルノブイリ事故のような破滅的事象は、おそらく起こらないと判断できる。

したがって、首都圏や仙台などの大都市の避難勧告のような事態は、おそらく避け ることができるものと判断できる。

ただし、最悪シナリオで放出される放射能は、これまで一時的に放出された放射能 よりも桁違いに多い可能性があるため、状況の推移によっては、現状の避難範囲(避 難20km、屋内退避30km)の再検討やヨウ素剤の配布計画、広範な地域で被曝を最小限 に抑えるためのマニュアルの周知徹底などが必要と考える。

※ 本レポートは、原子核物理の視点から、考えられうる最悪のシナリオを検討することによって、最悪事象 におけるさまざまな備えを考える上での参考材料を提示することを目的とした。筆者と北村正晴東北大学 名誉教授との私信をベースに、他の参考文献を考慮して定性評価したもので、すべての文責は筆者に帰す る。なお、本レポートはあくまで定性的な推論をまとめたものに過ぎず、被曝予防や退避・避難等につい ては、政府や自治体等の信頼できる勧告などを参考に、自己判断で対処していただきたい。

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